1975年、芸苑社、夏目漱石原作、八住利雄脚本、市川崑監督作品。
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中学教師である苦沙弥(仲代達矢)の家に、美学者の迷亭(伊丹十三)がいつものように遊びに来て、いつの間にか住み着いた猫を物珍しそうに眺めている。
さらに、理学者の寒月(岡本信人)も現れ、成金の金田(三波伸介)の娘、富子(篠ヒロコ)を好きになったという。
しかし、その富子、性悪な性格を母親(岡田茉莉子)からそっくり受け継いだような自堕落娘。
意地汚いのか、しょっちゅう、好物の餅を頬張っている。
高慢ちきな母親は、寒月の素性調査をするために、苦沙弥邸に取り込んで来るが、同席した迷亭が得意の嘘で彼女をからかい、立腹させてしまう。
苦沙弥自身、成金の金田家族が大嫌いで、金田が資金援助している落雲館中学校は、自宅のすぐ裏にあるにもかかわらず、わざと遠方の文明中学に通っているくらい。
そのうち、その落雲館中学から、野球のボールがしょっちゅう庭に飛んできて、それを探しに来る生徒たちが無遠慮に家に入り込み、苦沙弥たち家族は悩まされるようになっていく。
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お馴染み、夏目漱石「吾輩は猫である」のニ度目の映画化である。(1936年、山本嘉次郎監督、徳川夢声主演版がある)
基本的に、苦沙弥邸内の出来事を中心にした静的なドラマで、その時代色やいかにものんびりとしたユーモアを味わう以外、これといって刺激のある作品ではない。
苦沙弥の細君に波野九里子、姪の雪江に島田陽子、後半登場する、独仙に前田武彦、東風に若き篠田三郎などが扮し、どの役も、適材適所のキャスティングだと思うが、いかんせん、話が地味。
製作者たちの趣味性は感じられるが、まだ、動物映画ブームの前だったという事もあり、興行的には厳しかったのではないだろうか。
テレビドラマで十分ではないかという感じもする。
