1959年、東宝、石坂洋次郎原作、井手俊郎+岡田達門脚色、堀川弘通監督作品。
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「東洋評論」という雑誌の編集者香月久美子（司葉子）は、兄である、作家石丸市郎（笠智衆）とその妻素子（賀原夏子）の家に同居していた。
そんな石丸家に、同じ編集者仲間の野崎（太刀川洋一）の後輩で学生の村瀬（山田真二）が、高校一年の長男春雄（多川譲二）の家庭教師として雇われることになる。
後日、絵が好きな春雄が土手で絵を描いていると、自ら妾の子だとあっけらかんと言う葉村エリ子（冨永ユキ）という同級生が声をかけてきて、二人は仲良くなるのだが、その話を聞いた母、素子は気が気ではない。
嫌がる村瀬に、二人の様子を探らせたりする。
ある日、恵子のもう一人の姉で、有閑マダムであった高畠信子（津島恵子）が働きたいと恵子に相談してくる。
そんな信子に、最初は冷淡な態度を見せていた野崎だったが、次第に、相手の美貌に魅力を感じるようになり、渋谷で店を持っている妹（青山京子）に相談するまでになる。
しかし、妹は、人妻に興味を示しているそんな兄の態度を嫌がるのだった。
それでも、野崎は信子にのめり込んでいく。
一方、かつては野崎に求愛されてもあっさり振っていた久美子はと言えば、妻に先立たれた上司の野呂（森雅之）に気があって、常日頃から女手のない野呂家の手伝いなどに出かけていたのだが、ある日、酒の勢いも借りて自分からモーションをかけた所、あっさり振られてしまうのだった…。
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高校生の春雄の爽やかな男女関係から、大人たちの複雑な恋愛模様まで、いくつものエピソードを織り成した作品となっている。
とはいっても、石坂文学特有のあっけらかんとした明るさが根底にあり、決して、ドロドロした暗い調子にならない所が救い。
野崎と信子の関係など明らかに不倫関係で、下手に描くと後味の悪い展開になるはずだが、爽やかに見せてしまう所が見事。
久美子同様、こちらも、上司の野呂に気があるらしい女性編集者に杉葉子、仕事の後、酒場で煙草をくゆらせるキャリアガールを演じている。
注目すべきは、石丸家の長女で、中学生くらいの女の子を演じているのは、デビュー当時の星由里子。
お兄ちゃんの絵のモデルをしてやるシーンではアップの顔が登場、下がり眉毛が愛らしい子役時代である。
セリフも多くはないがそれなりに用意されており、おしゃべりで無邪気な感じの普通の女の子を演じている。
あれこれ、小さなもめ事にたえず気を揉んでいる妻役の賀原夏子と、うわべ上、泰然自若を気取っている夫役の笠智衆のコンビも愉快。
しかし、何といっても、この時代の司葉子の美貌振りには驚かされる。
颯爽とした都会的なキャリアガール姿が魅力的である。
「お姐ちゃんトリオ」でお馴染みの、重山規子もちらり登場している。
