1964年、東宝、八住利雄脚本、佐伯幸三監督作品。
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巨人軍の新聞担当係堺（フランキー堺）は、新聞記者たちから、オフシーズンの長嶋の行方に付いて質問されていたが、知らないと素っ気ない。
かつて、長嶋と三塁手を競い合い、その後トレードされたのをきっかけに、野球界から足を洗った波山（佐原健二）は、長嶋と喫茶店で待ち合わせていたのだが、相手は来ない。
その頃、当の長嶋は、箱根で一人ランニングに励んでいた。
宿のおばさん（淡島千景）から、波山から届いていた速達を渡され、待ち合わせの事を初めて知った長嶋は、東京の喫茶店に電話をかけるのだが、すでに波山が帰ってしまった事を知るだけだった。
一方、タクシーの運転手、戸部伸吉（伴淳三郎）は、熱狂的な長嶋と巨人ファン。
長嶋が三冠王を取るようにと、息子には作文コンテストの入賞、娘（大空真弓）には美人コンテストの入賞を催促する始末。
ある日、長嶋邸にサインをもらいに訪れた少年が、車に轢かれて死亡するという事故が起こる。
その事を、新聞で知った長嶋は、精神的に動揺し、成績が奮わなくなってしまう。
さらに、手内職仕事で、一人息子を育てている貧しい母子家庭も紹介する。
その息子は、大の長嶋ファンであり、将来、自分も野球選手になる事が夢だったが、多摩川に巨人軍の練習を見に行った際、不良どもに絡まれ、足を怪我してしまう。
入院した病院の看護婦（池内淳子）の話では、もうスポーツは無理だろうと聞かされ、母親（千石規子）以上に、息子は力を落とすのだった。
やがて、その息子はヤケを起こし、不良仲間に入る事になるのだが、ラジオから聞こえてきた長嶋の子供達に送る励ましの言葉を聞く内に改心する。
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基本的には、現実のミスターならびにジャイアンツの様子に、架空のエピソードをちりばめた感じの作品になっている。
完全に、ジャイアンツ＆ミスター礼讃映画というしかない。
川上監督はじめ、王貞治、広岡達郎、柴田勲、藤田元司、さらに西鉄の中西太など、当時お馴染みの選手が登場するだけではなく、セリフも話している。
他にも、役者としてではなく、単なるジャイアンツファンとして特別出演しているような感じの人も多く、藤田投手の家の書生を演じる舟木一夫をはじめ、仲代達矢、三木のり平、宝田明、伊東ゆかり、桜井浩子、アイ・ジョージ、淡路恵子などが、皆ニコニコして登場している。
王さんが、劇中で、リポ○タンDをわざとらしく飲んでみせたり、不良になりかけて改心した少年が、ミスターに車で家まで送ってもらう際、自分が熱烈なファンである事を証明してみせるために、ミスターの自宅の本当の所番地をはっきりいってしまっている所など、今では考えられないような描写も興味深い。
全て用意されたセリフをいわされているため、いわゆる、ミスター語録的な発言はない。
箱根のシーンで、ランニングから帰ってきたミスターが、朝食だか昼食として、いきなりすき焼きを食べているのには驚かされた。
