1962年、東宝、石坂洋次郎原作、井手俊郎脚色、千葉泰樹監督作品。
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多賀谷(山村聡)は、社用で大阪から帰る飛行機の中で、偶然にも別れた元妻、あさ子(淡島千景)と隣り合ったことに気付く。
あさ子は、生来、消極的な性格であったため、友人として家に呼んでいたとも子(草笛光子)に、夫を奪われて、身を引く形で別れたのであった。
多賀谷は、羽田に迎えに来ていたたね子と旅館業を営む再婚相手高山兼吉(加東大介)の間に出来た長男の新太郎(加山雄三)にも出会う。
偶然にも、多賀谷ととも子の長女、たね子(星由里子)と新太郎は同じ大学に通う学生同士だったこともあり、若い二人は急速に親しくなっていくのだが、たね子は新太郎から、実家の旅館で働く未亡人武原信子(池内淳子)と、かつて一度過ちがあったのだと告白されてしまう。
衝撃を受けたたね子だったが、それ以上の熱い気持ちを新太郎にぶつけることになる。
一方、多賀谷と再会後のあさ子は、それをきっかけに再び上京した際、多賀谷と秘かに会って、自らの暗い少女時代の思い出を打ち明けたりもしていたのだが、この際思いきって過去のこだわりを解決し、元友人であったとも子との仲も修復しなければいけないという気持ちに突き動かされ、思いきって後日、一人で多賀谷の家を訪れることになる。
その時はじめて、たね子は、両親の結婚のドロドロした事情を知るのだった。
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別れた夫婦の偶然の再会が、二つの家族の間に小さな波紋を起こしていく様を描く文芸作品。
たね子の弟役は田辺靖雄、新太郎の妹役は桜井浩子、又、武原信子の新しい恋人に小林桂樹が各々演じている。
さらに、両方の家族と付き合いがある親戚筋の没落した元伯爵沢田に東野英治郎、長らくその内縁の妻であったホステスの珠子に乙羽信子。
二人が正式に結婚式をあげることになる教会の牧師が有島一郎、その妻が沢村貞子。
親戚代表として出席したたね子と新太郎も交え、年輩者同士のこの結婚式の有り様はユーモラスに描かれており楽しい。
また、海に出かけたたね子と新太郎が、人目につかぬ岩場で、互いに素っ裸になって並んで海を眺めるシーンは印象的。
本作の前年に始まった「若大将」シリーズでは見せない、二人の濃厚なラブシーンもある。
いくつもの世代の愛情関係、信頼関係の再生を綴った大人の文芸ものといった感じの作品で、派手さはないが、じっくり見ごたえのある作品に仕上がっている。
