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IZO

2004年、IZOパートナーズ、武知鎮典脚本、三池崇史監督作品。

世間的にはほとんど知られていないフォーク歌手友川かずきのビデオクリップ…といっても良いだろうし、時代劇版「ゼブラーマン」…といっても良い。

不条理で観念的なアクション映画…といっても良いだろうし、実験的娯楽時代劇といっても良いだろう。

過去、色々、お騒がせ事件を起こした中山一也(基本的にはイケメン系なのだが…)は、主人公というよりお遊びの素材である。

彼は時空を超え、次々に遭遇する敵と戦い、どんなに相手から斬られても撃たれても死ねない、成仏できない。

そういう現象に対し、唐突に出現する色々なキャラクターたちが、あれこれ難解で思わせぶりな解説をしていく。

「完全なる位相が、不完全なる以蔵を生む」(大滝秀治のセリフ)…など。

それらのセリフは一見意味ありげだが、それもしょせんはまやかしだろう。

観客は唯、延々と繰り替えされる殺戮シーンのアイデアと、意外なゲスト陣の顔ぶれを楽しめば良いだけ。

出るわ、出るわ…。

内田裕也から始まって、秋野太作、勝野洋 、ミッキー・カーチス、ジョー山中、力也、夏樹陽子、原田芳雄、原田大二郎、長門裕之、高瀬春奈、石橋蓮司に中山麻理…いかにも70年代っぽい顔ぶれ。(みんな老けたな〜…)。
松田龍平、原田龍二、ミッチー(及川光博)に、魔裟斗、山本太郎といった若手。

タケちゃんに鶴太郎、ウルトラマンタロウ(篠田三郎)にファンファン(岡田真澄)といったバラエティ&ヒーロー系?。

さらに松方弘樹や緒形拳(武蔵役?)まで出てきたのには驚かされた。

これだけ、ゴッタ煮的キャスティングになると、もうボブ・サップが登場しても驚かない。
時代劇の中に、英語のセリフが発せられても、自然に受け入れてしまえるから不思議だ。

殺戮シーンの間に、時々アクセントとして、エロス的な要素も混入される。

ヴァイオレンスとエロスは、表裏一体の関係であるらしい以蔵(中山一也)とサヤ(桃井かおり)の関係みたいなもの…ということか。

樹木希林衝撃のシーンは愉快。

60〜70年代頃に流行ったATGとかアングラ映画の匂いがするのだが、VFX処理なども多用して、現代風にも見せている。

かなり長めだが、カルト映画好きにはたまらない快作となっている。

意味を求めなければ楽しめるはず。