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ガンマー第3号 宇宙大作戦

1968年、ラム・フィルム+東映、金子武郎脚本、深作欣二監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

宇宙ステーション「ガンマー第3号」よりケープケネディ

国連宇宙センター(UNSC)にサテライト1号、2号からの通信が入り、謎の星が見つかる。

拡大して調べると、遊星らしかった。

その進路を調べると、地球と衝突する事が分かる。

タイトル

司令官であるジョナサン・トンプソン所長(バッド・ウイドム)に呼び出されたジャック・ランキン中佐(ロバート・ホートン)は、壁にかかった一枚の写真を懐かしそうに見やる。

そこには、自分と、ヴィンズ・エリオット中佐(リチャード・ジェッケル)が一緒に写っていたからだ。

名コンビだったなと司令官から言われたランキン中佐だったが、コンビを解消させたのは私のせいですと口ごもる。

司令官は、直ちに呼び出した用件を説明しだす。

2時間前に発見された「遊星フローラ」は、二等遊星で六百万トンの岩の固まりだがは、地球に向かっており、後10時間足らずで衝突すると言う。

回避する手段は一つしかなかった。

フローラの爆破である。

三カ所に爆薬を仕掛けるのだが、これが出来るのは一人しかいないと司令官は言い、ランキン中佐に指令書を渡すと、ただちにガンマー3号に行ってくれ。失敗したら帰って来るなと送り出すのだった。

今はエリオットが持っているガンマー3号の指揮権も与えると言われたジャック。

ロケットに乗り込んだジャックは、宇宙ステーションガンマー第3号に到着する。

それを向かえるエリオットは、部下から、指揮権がランキン中佐になると言うのは本当かと聞かれ、本部が決めた事だ、そのつもりでと答える。

そんなエリオットと久々に再会したランキン中佐は、すぐさまフローラに向かう事にするが、そこへ、宇宙コンサルタントのハルパーソン博士(テッド・ガンサー)が自分も同行すると言いに来る。

指令が変わったと言うのだ。

ガンマー第3号の指揮は、しばらくマーチン大尉(ロバート・ダンハム)に任せ、エリオット中佐も行くと言う。

彼らも加え、ランキン中佐らが乗り込んだロケットは、発射ドームから発信する。

ランキン中佐は、爆薬の1号は自分とスコット、2号はエリオット中佐、3号はモリス中尉がそれぞれ設置する事にしたと指示を出す。

やがてロケットは、遊星フローラの上に着地する。

上陸時間1時55分、2時45分までにここへ戻れと、出発する各メンバーに通達するランキン中佐。

三組のメンバーは、それぞれ作業車で目的地へ向かう。

ハルパーソン博士は、岩場の陰で蠢く緑色の不思議な物体を発見、それに興味を抱く。

爆薬を仕掛けていたランキンの作業車にも、同じような緑色のスライムが接近し、付着していた。

作業を終え、作業者に戻ったランキンは、スコットとそのスライムを除去しようとするが、なかなか取れないので、あきらめ、そのまま徒歩でロケットに戻る事にする。

ロケットにはランキンらが戻って来ると、まだエリオット中佐の姿が見えない。

その後、遅れてエリオットも到着。

そこに宇宙センターより連絡が入り、フローラのスピードが増したので、爆破時刻を3時に繰り上げてくれと言う。

ランキン中佐は、今、2時45分だから、それでは危険すぎると抗議するが、どうしようもない。

ランキン中佐は、直ちにロケットで離脱しようとするが、ハルパーソン博士の姿がない事に気づく。

そこに戻って来たハルパーソン博士は、採取瓶に何か緑色のものを入れて持っている。

この緊急時に、そんなものを持ち込んで来たハルパーソンの行為に切れたランキン中佐は、捨てろ!と叫んで、その採取瓶をたたき落とす。

その際、瓶が割れ、緑色のスライムの飛沫の一片がハルパーソン博士の宇宙服に付着した事を誰も気づかなかった。

急いで三カ所の爆薬のタイマーをセットし直したジャックが戻って来て、ロケットは飛び立つが、最大スピードを出さなければ爆発に巻き込まれていs舞う。

すでに10Gの重力がかかっており、これ以上は無理だと言う操縦士の言葉を無視し、ランキン中佐はスピードをさらに加速する。

その際、ランキン中佐は転び、宇宙服の一部が裂けてしまう。

ランキン中佐は、シールドを張れと命じるが、重力が強すぎて、身体がスイッチに届かない。

やがて、遊星フローラに仕掛けていた爆薬が爆発する。

ランキン中佐は、夢中で手を伸ばすと、何とかシールドのスイッチに手が届く。

爆発したフローラのかけらが、ロケットに降り注ぐが、何とかシールドで防ぎながら脱出に成功。

作戦成功を知った司令官は、すぐに報道官にマスコミ発表の準備をさせる。

ガンマー第3号に無事到着したランキン中佐だったが、エリオットを出迎えに来たリザ・ベイスン(ルチアナ・パルツィ)に、まだ消毒がすんでいないので近づくなと命じた後、消毒は3度行うように部下たちに命じる。

ランキン中佐は報告書を作成するモリス中尉(ダビッド・ヨーストン)に、自分とエリオットとの連盟にしておいてくれと頼む。

消毒も済み、ようやく宇宙ステーション内部に入った爆破班は、歓迎パーティで乾杯をする。

一方、宇宙服の消毒を任されていたマイケル(リチャード・ハイランド)は、滅菌室の中の様子がおかしいので扉を開けて中を調べようとする。

異常を知り、消毒室にやって来たランキン中佐らは、そこで電気で焼けこげたようなマイケルの遺体を見つける。

ハルパーソン博士は、フローラで発見した緑色の粘液の一部を発見する。

さらに、Cブロックの異常を知らせる連絡が入ったので、ランキン中佐は送電室の調査を命じる。

調査に来た二人は、送電室内で漏電箇所を発見。

しかし、そこに隠れていた何者かに襲撃される。

送電室に呼ばれたエリオットが駆けつけると、調査隊が電気で焼け死んでいた。

マイケルと同じ状況である事にエリオットは気づく。

その後、床に蠢いている謎の生物を発見する。

レーザーで攻撃しようとする隊員たちを押さえ、ハルパーソン博士は貴重な生物なので捉えてくれとランキン中佐に願い出る。

エリオットも、その意見に同調したので、折れたランキン中佐は、ガス銃とネットを用意させる。

ガス銃で動きを封じた後、ネットで捉えようとしたが、謎の生物は、電気でネットを焼き切ってしまい、外に出ようとする。

やむなくランキン中段はレーザーで攻撃、その際、モンスターが振りかざした触手でエリオットは肩を焼かれてしまう。

モンスターは、結局、換気シャフトに逃げ込んでしまう。

ランキン中佐は、自分なりのやり方を貫く事を決意する。

ハルパーソン博士は、怪我をしたエリオットに謝罪した後、床に残っていた緑色の粘液を研究室に持ち込むと研究を始める。

医療室で治療中のエリオットに会いに来たランキン中佐は、地球に帰る事を勧める。

しかし、エリオットは、又俺が何かをしでかすと言いたいんだろうとひがむ。

治療をしていた看護婦のリザもエリオットに味方し、やっと見つかった貴重な生物だったのにと恨みがましく言うので、それは犠牲者の家族に言ってくれとランキンは突き放す。

姿を消したモンスターを発見するため、ガンマー第3号の外側の調査も命じたランキンとエリオットは、ハルパーソンに呼ばれ研究室に行ってみると、そこで、緑の粘液は電気を通すと異常なスピードで繁殖する事を知らされる。

少しでもエネルギーがあれば増殖し、やがて電気を放電するようになると知ったエリオットは、的の居場所は動力室だと察知する。

ランキンも、レーザーを使うなと部下たちに命じる。

電子医療器具を使っていた看護婦たちは、その中にモンスターが隠れている事に気づく。

マーチン大尉(ダン・ユマ)が、ついレーザー攻撃してしまったので、駆けつけて来たランキンが止めさせる。

ランキン中佐は、モンスターを隔離室に閉じ込めようと提案する。

ハルパーソンは、床に広がった緑の粘液のの様子を見て、又増殖していると指摘する。

隔離室にモンスターを閉じ込めたランキンが、モニターで中の様子を監視していると、モンスターは、自分で自分の傷を治療しているようだった。

緑の粘液は、隔離室の壁を伝い動き回っている。

その粘液から、モンスターが何匹も出現している。

エリオットは電気を止めるよう指示する。

司令室に士官を集めたランキンは、ガンマー第3号は異常生物に占領されたので、宇宙空港を閉鎖すると報告する。

リザは、基地が孤立したと聞いて驚くが、ランキンは、患者を地球に戻せばどうなるか分かるだろう?と説き伏せるのだった。

エリオットは、Cブロックを封鎖するよう命ずる。

ジェネレーターを設置した倉庫にサーチライトカーでおびき寄せる作戦だった。

ランキンは直ちに、館内放送で、Cブロックを閉鎖すると全搭乗員に伝える。

倉庫内にジェネレーター設置完了したので、リモコン捜査で始動テストをしてみる。

通路にやって来たサーチライトカーで、モンスターの様子を見るランキンたち。

やがて、モンスターフローラが群れをなして、明かりをつけバックするサーチライトカーの方に進んで来る。

しかし、その時、医務室がモンスターに襲われる。

サーチライトを消させたランキンは、自ら援護をし、リザたち看護婦や患者を外に出す。

彼らをBブロックへ移動させる。

ランキンはモンスターに囲まれるが、そこにエリオットがライトをつけ近づいて来る。

モンスターの群れから抜け出す事が出来たランキンは、再びサーチライトカーに点灯させる。

倉庫の前まで来たモンスターたちは、皆、中のジェネレーターに引き寄せられて行く。

マーチン大尉は、もう一度、Cブロックの確認をさせる。

すると、一部のモンスターを閉じ込めていたた病室内の隔離室の扉が動いており、このままではCブロックは持たないと分かる。

エリオットは、まだ何か良い手が…と未練を見せるが、ランキンから教えてくれと詰め寄られると黙ってしまう。

そんな中、研究資料が実験室に残っていると、ハルパーソン博士がCブロックに戻ろうとする。

その時、隔離室のドアを破ってモンスターフローラが外に出て来る。

ハルパーソンは、バックしていたサーチライトカーに轢かれてしまい、扉が閉鎖されたCブロックに取り残されてしまう。

次のブロックへと、指示したランキン中佐だったが、横転したサーチライトカーが使えて次の扉が開かないと言う。

エリオットは、博士を見殺しに出来んと、Cブロックとの遮蔽扉を開けようとするが、ランキンは止めろと制止する。

しかし、リザが開閉スイッチを入れてしまう。

遮蔽扉が開き、ハルパーソン博士が目の前に立っていたが、全身火傷を負っており、そのまま倒れ込んで来る。

その後から、モンスターたちが入り込もうとして来たので、ランキンがレーザーを発射するが、エリオットは撃つなと止める。

マーチンに、遮蔽扉を閉じさせた後、Cブロックの爆破を決意する。

爆破後、ランキンは、Cブロックの痕や宇宙ステーションの外側をモニターで慎重に確認する。

すると、外壁に多数のモンスターが張り付いているのが分かる。

エリオットは、それらが太陽エネルギーを吸収しているのだと気づき、太陽ジェネレーターを止める事にする。

ランキンは、地球の宇宙センターのトンプソン所長に、ガンマー第3号の放棄を余儀なくされたと報告する。

その後、ガンマー第3号の爆破指令を出したランキンに、エリオットはどういう事かと詰め寄って来る。

収集不能になったと言うランキンに、エリオットは爆破指令の指揮権はあるのかと抵抗する。

しかし、それには構わず、マーチン大尉に、撤退作戦の指揮を命じる。

トンプソン所長から連絡が入り、ガンマー第3号を地球に落とし、大気圏で燃やそうと言って来る。

マーチン大佐は、脱出シャトルの第一号を発進させようとするが、外にモンスターが多数付着していてハッチが開かない事が分かる。

ランキンが、4、5人外に出て、あいつらを追い払えと命じると、エリオットが自ら志願して外に出る。

エリオットが指揮を取り、宇宙遊泳しながら、モンスターと戦い始める。

それをモニターで見ていたランキンは、太陽反射鏡を使って、モンスターたちの気をそらそうと発案する。

そうした作戦が功を奏し、ハッチが開いたので、第1号機、2号機と、脱出艇が発射される。

エリオットは、レーザーのエネルギーが切れていた。

マーチン大尉は、最終脱出艇が出発したと知らせて来る。

ランキンは地上の宇宙センターに、これより脱出すると報告する。

脱出艇に向かっていたランキンの背後にモンスターが迫っていたので、待っていたリザが思わず叫ぶ。

マーチンは、電力低下で、地上からの誘導が出来なくなったと報告する。

ランキンは、外で旋回していてくれとマーチンに頼むと、自分は手動で誘導するため、司令室に一人戻る。

ガンマー第3号から出発し、旋回していた脱出艇に合流したエリオットは、ランキンの姿がないので、リザに訳を聞く。

又戻ったと聞いたエリオットは、助けに出かける。

その頃、モンスターに一人立ち向かっていたランキンのレーザーは尽きかけていた。

そこに、エリオットが救援に駆けつける。

その姿を見たランキンは、命令が聞けない奴だなと笑う。

エリオットも、これが俺の悪い所でなと笑い返す。

手動で何とか誘導装置を動かした時、エリオットがモンスターに襲われる。

倒れたエリオットが落としたレーザーを拾い、ランキンはモンスターを撃つ。

やがてガンマー第3号の軌道が外れ始め、ランキンはエリオットを抱えて、ハッチから宇宙へ脱出する。

墜落して行くガンマー第3号は、大気圏を通過するうちに炎上し、大爆発を起こし飛散する。

脱出艇に戻って来たエリオット中佐の身体は、国連旗に包まれていた。

その横で涙するリザ。

宇宙センターに報告するランキン中佐は、ヴィンス・エリオット中佐の尽力で危機は脱した。

彼に、最高の栄誉が与えられん事をと…

連絡を終えたランキン中佐は、「さ、帰還だ!行こう!」と操縦席で親指を掲げるのだった。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

ラム・フィルムが東映に作らせた宇宙モンスター映画。

主演級の俳優以外は全員、当時日本に住んでいた外国人を使って作られており、日本人は一人も登場しない。

謎の星に向かった宇宙船乗組員が、謎の生物を宇宙ステーションの中に持ち込んでしまい、閉鎖空間の中で大パニックが巻き起こる…と言う筋立て自体は、後の「エイリアン」や「アルマゲドン」を思い起こさせる。

宇宙生物の捕獲に興味を示す科学者が、宇宙生物を殺さずに生け捕ろうと働きかけ、さらに事態を悪化させてしまう所などは「エイリアン」そっくり。

サプペンスを盛り上げるために、各所にあれこれ小ネタが用意されているし、大掛かりなセットも作られている。テンポも決して悪くないのだが、いかんせん、今ひとつ盛り上がらない印象がある。

当時の東映としては力作の方だと思うが、モンスターの見せ方が平板であるため、いかにも作り物にしか見えず、怖さを感じない事と、閉鎖空間でのアクションに今ひとつ迫力がないためだと思う。

ランキンとエリオットの二人の対決色も、サスペンスを生むまでに至っておらず、エリオットがあまり魅力的に描けていない上に。そんなエリオットの恋人であるリザなども、ただの頭の悪い悪女にしか見えないのもつらい。

かと言って、主役のランキンが魅力的なキャラクターになっているかと言うと、これも微妙で、ステレオタイプなB級映画ヒーロー像以上のものではないように思える。

特撮を担当したのは、渡辺明率いる日本特撮映画ということもあり、全体的に東映特撮というより円谷英二系の印象があり、セット等もなかなかしっかり作られている。

ただし、深作SFとしては、ファンタジー色が強かった「宇宙からのメッセージ」とは又違った意味で、双璧をなす作品かも知れない。

マーチン大尉を演じているダン・ユマは、東宝の「宇宙大怪獣ドゴラ」(1963)などにも出ている外国人で、深作監督とは、1961年の「白昼の無頼漢」で一緒に仕事をしている。

その他にも、60年代特撮映画でお馴染みだった外国人女性たちが多数出演しているのも見所。

特撮マニアなら、どこに誰が出ているかを見つけたりするのも一興だろう。