1977年、タツミキカク+ATG、大和屋竺+田中陽三+荒井晴彦脚本、曾根中生脚本+監督作品。
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昭和22年、歌川一馬(嵯川哲朗)は、画家、土井光一(通称ピカイチ-内田裕也)の妻、あやか(夏純子)を自分の結婚相手として貰い受ける。
やがて、その歌川家からの招待状が、幾人かの文化人たちに届く。
一馬の妹、京子(桜井浩子)とその夫、矢代寸兵(田村高廣)。
女流作家宇津木秋子(楠侑子)、フランス文学者三宅杢兵衛(石浜朗)、作家望月王仁(内田良平)、詩人内海明(内海堅二)、劇作家人見小六(江角英明)…。
しかし、そんな中、一見場違いな招待客も含まれていた。
それはいかにも腹黒そうな弁護士、神山東洋(神田隆)であり、別れた夫であるはずのピカイチ画伯、さらに巨勢博士(小坂一也)という素人探偵であった。
「9月10日宿命の日」という謎めいた文言と共に、「惨劇が予想されるので、巨勢博士を連れてきてくれ」と書かれた手紙を受け取った矢代が呼んだのだったが、屋敷に到着してみると、当の一馬自身は、そんな手紙を出した覚えはないという。
やがて、その歌川家の屋敷内で、次々と謎めいた連続殺人事件が巻き起こる…。
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前年の「犬神家の一族」に始まる金田一映画ブームの最中に作られたミステリー映画。
基本的に、「犬神〜」に似た雰囲気の、どろどろした人間関係渦巻く屋敷内を中心に、舞台劇のような雰囲気の話が進行していく。
ただし、低予算作品である為、ケレン味は薄い。
名探偵役も、おそらく過去の同類の映画化作品の中、最も地味な印象の一人に属するのではないかと思われる小坂一也。
全体的に、テレビの2時間サスペンスを観ているような印象もある。
本作で一番目だっているのは、何といってもピカイチ役の裕也さんである。
冒頭から出ずっぱり状態といっても良い。
正直、芝居は下手なのだが、その特異なキャラクターの存在感だけで最後までもたせている感じ。
良くも悪くも、この裕也さんを受け入れるか否かが、そのまま本作への評価にも関わってくるはず。
田村高廣は、同じくATG作品の「本陣殺人事件」(1975)以来の名探偵もの作品への登場である。
どっしりとした一馬を演ずるは「ウルトラマンA」の防衛隊TACの竜隊長で有名。
そして、その妹を演ずる桜井浩子は「ウルトラマン」の科学特捜隊のフジ隊員、両者とも時代を感じさせる配役である。
時代を感じさせるといえば、足が不自由で屈折した心理の医者、海老塚を演じる松橋登なども懐かしい二枚目である。この当時の原作文庫本には、彼の姿が表紙写真として使用されている。
歌川家の当主多門には金田龍之介、他にも伊佐山ひろ子、初井言栄、浜村純、殿山泰司など、この手のミステリらしい登場人物の多彩さはあるが、スケール感には乏しい。
お手伝い役として、泉じゅんや岡本麗、その夫役でデザイナーの粟津潔なども出演している。
