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YUUREISEN幽霊船

1956年、千代紙映画社、大藤信郎監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

まずは、いきなり、カラーセロファンをはさみで切る手の実写映像から始まる。

そして、タイトルと共にアニメの世界へ…。

船首に人間の死体がぶら下がった無気味な幽霊船が一隻漂流している。

生きている人間の姿はどこにもない。

その破れた帆には、髑髏の印!
その船はもともと海賊船だったのだ。

時は、過去へ遡る。

丸に十字の紋のある貿易船に海賊船が襲いかかる。

殺人、略奪の限りを尽くした海賊船は、凱歌の雄叫びをあげるのだが、やがて、船長の様子がおかしくなる。

仲間の姿が、先ほど殺した船の乗組員の姿に見えるのだった。

船長は恐怖に駆られ、次々と仲間を斬り殺して行く…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

人間の欲望と残虐性、それに対する天の裁きともいうべき狂気の様を描く虚無的雰囲気さえ漂うアニメ作品。

カラーセロファンを多層的に使った独自のスタイルと、人間の卑しさ、醜さ、浅ましさを冷徹に見据えた視点で、誰にも真似の出来ない幻想世界を作り出している。

アートアニメの先駆者といわれる大藤は、こうしたアニメを、ほとんど、数人の身内の協力だけで作り上げたのだ。

前々から、その名前と業績について多少の知識だけはあったのだが、実際に作品を観るのは今回が初めてである。

噂に違わぬ完成度の高さに驚かされた。

黄色い海の表現は、何やら暗示的。

美しさと奥深い内容…、歴史的名作の一本である事は疑いようがない。