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ユニコ

1981年、サンリオ、手塚治虫原作、辻真先脚本、平田敏夫監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

昔昔、ユニコーンが生んだ赤ん坊の中に、白い角を持つユニコ(声-美輪勝恵)という不思議な力を持つ仔馬がいた。

ユニコは、その不思議な力で人々の心を優しくする事ができるので、地上は平和で幸せに包まれるようになる。

しかし、これに困ったのが天上界の神様たち。

幸せは、人間が苦労を重ねてこそ手にする事ができるもので、ユニコがいると、人間にそうした試練や教訓が与えられないからである。

そこで、神様たちは、西風の精(声-倍賞千恵子)を呼出すと、ユニコを世界の果ての「忘却の丘」へ捨ててくるように命ずるのだった。

しかし、幼く無邪気なユニコを哀れんだ西風の精は、世界の外れにあるとある島にユニコを置いて行く事にする。

その島には、孤独の悪魔の像が建っていたのだが、それが崩壊してしまい、中から出て来たのは、孤独の悪魔の子供(声-掘絢子)。

ひねくれ物だったその悪魔君は、しかし、ユニコの優しさに触れ、友情というものに目覚めて行く。

又しても、幸せになった島の様子を知った神様たちは、夜風の精を差し向けるのだった…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

サンリオのフルカラー少女コミック誌「リリカ」に掲載されていた手塚治虫のコミックをアニメ映画化したもの。

倍賞千恵子がアニメ映画の声を担当したのは、この作品と同年の「機動戦士ガンダム」が最初だったのではないか。

サンリオはこの当時、長篇ファンタジー映画を何本か製作しており、日本のディズニーを目指していたようにも感じられるが、結果的に当ったのは、ファンタジーでもアニメではない「キタキツネ物語」(1978)くらいで、アニメそのものは大衆の支持を得るには至らなかった。

本作にしても、いかにも「型通りのファンタジー」というか「PTAが喜びそうな良心的なアニメ」以上のものになっておらず、「宇宙戦艦ヤマト」(1977)以降、大ブームとなったアニメの流れとは基本的に相容れないものがあったように思える。

「低刺激」というか、はっきりいって「きれいごと過ぎて」ものたらないのである。

歌手のイルカがナレーションをつとめている事等から推測して、幼児を持つ若いお母さんあたりがターゲットだったのだろうが、当時、劇場公開して成功するほど、マーケットとして成熟していなかったのではないか。

後半のエピソードで登場する捨て猫のチャオ(声-杉山佳寿子)の歌とキャラクターは可愛い。(人間になってからは、さほどでもないが)

ゴースト伯爵の声を演じている井上真樹夫も、キャラクターの雰囲気といい、「ルパン3世」の五右衛門や「キャプテン・ハーロック」の時代を思い出させる。

キティちゃんがちらり登場する楽屋落ちなども楽しい。

今、絵本好きな女性とか、幼児に見せるパッケージソフトとしてとしては、無難な内容といえるだろう。