1956年、日動映画社、浜田広介原作、森康二脚本、藪下泰司演出作品。
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冬の雪山、一件の家で、囲炉裏の前の漁師が晩酌を楽しんでいた。
そこに、戸を叩く音。
怪んだ漁師が出てみると、そこには、一匹の月の輪熊が立っていた。
どうやら腹を空かせているらしい。
一旦は、家に入れるのを断わった漁師だったが、鉄砲があるのを思い出し、熊を中に招くと、食事を与え、熊が油断している所を背後から撃ち殺してしまう。
しばらくすると、又扉を叩く音。
窓から様子をうかがうと、今度は狐とリスが表に立っている。
熊で味をしめた漁師は、窓から二匹を鉄砲で撃つ。
リスは気絶しただけだったのだが、逃げ出した所を捕まってしまい、結局、二匹とも死んでしまう。
遺体から抜け出した熊、狐、リスの魂は、森の中に戻り、そこで、仙人のような姿をした森の神様に出会うと、命をよみがえらせてもらう。
生き返った三匹は、森の中の又別の家に出かけるのだが、そこでは、白髪頭の優しい漁師が、彼らを暖かく招き入れてくれるのだった。
そんな中、森の中では、怪し気な雪女が出現する…。
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全く予備智識もなく、生まれてはじめて観るアニメだったが、あまりの完成度の高さに驚かされた。
絵柄もリアルなら、動きもしっかりしており、大人が観ても納得するレベルになっているのだ。
というか、この作品、果たして、子供を対象に作られたのであろうか。
それにしては、ちょっと無気味な内容にも思える。
ストーリーもちょっと異色だが、時代劇風の人間像も異色。
特に、途中から出現する雪女の表現が出色。
あたかも、伊東深水が描く美人画のような雰囲気で、紫色のおこそ頭巾姿が艶かしくも美しい。
しかし、その雪女の動きは素早く、風のように山を移動する。
マルチプレーン技法で、奥行きのある雪の中、この描写は妙に怖い。
不思議なのはよみがえった動物たちの存在。
生き返ったのであれば、最初の漁師の家に死体はなくなるはずなのだが、ちゃんと元の死体は残っている。
結局、形を与えられた魂という事だったのだろうか?
色々、深読みができる大人向きのファンタジーといえるかも知れない。
小さな子供は、怖がって、途中から観れなくなるかも知れない。
アニメファンには、必見の作品だろう。
