1957年、東映教育映画部、木下秋夫原作、藪下泰司演出作品。
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子猫が、塀に落書きをしている。
何台もの自動車や汽車の絵。
汽車のため、長い線路を描き、トンネルを描き加えると、急に汽車の絵が動き始める。
さらに、自動車の絵も動きだし、塀の中は混雑状態。
慌てて、子猫は、交通整理のおまわりさんを描き加える。
絵のおまわりさんはすぐさま動きだし、きちんと車を整理しはじめる。
こうした様子を、二匹の凸凹ネズミが愉快そうに観ている。
ところが、そんな子猫の側に近づいて来たものがいた。
塀の持ち主らしき、熊さんであった。
農夫風の熊さんは、子猫にバケツを渡し、絵を消すように命ずる。
渋々絵を消しはじめた子猫だったが、落とした鉛筆をネズミたちが持ち去ろうとするのを見付け、取り戻そうと慌てて後を追う。
ネズミたちは、塀の中に描かれた汽車に乗り込んで逃げはじめる。
子猫も、夢中で動きだした汽車にしがみつくが、その汽車は、トンネルをくぐり抜け、不思議な世界に入り込んでしまう…。
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東映初期の動物キャラクター、テレビの「ハッスルパンチ」や、長篇動画などに登場する動物キャラの原型がはっきり登場している。
主役の子猫は、後年の「長靴をはいた猫」のペロよりは、もっと年長っぽくリアルに描かれている。
二匹のネズミは、そのまま、東映初期アニメのお馴染みさんといった感じ。
動きは滑らかで素晴らしい。
特に、素朴な線画の落書きが動く様は愉快であると同時に幻想的でもあり、トンネルの中の世界で、ネズミの絵の大軍に追い掛けられた子猫が、池の中のカニを手に取り、その泡を吹き飛ばして対抗するシーンは楽しい。
全体的に、上品さと洒落っ気を感じさせ、小さな子供から大人まで、どういう層が観ても楽しめる、レベルの高い作品になっていると思う。
