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国際秘密警察 火薬の樽

1964年、東宝、関沢新一脚本、坪島孝監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

警視庁の柳生警部(佐藤允)は、ゼータ線という発明をした世界的な電子工学の権威竜野博士(田崎潤)が誘拐された時の様子を、助手の宮地(二瓶正也)の証言を元に、再現して検証していた。

国際秘密警察の北見次郎(三橋達也)は、竜野博士の一人娘(星由里子)の美しさにひかれ、たまたま同行していた友人の柳生警部と共に、博士の自宅の調査に協力する事に。

部屋の中に盗聴器を発見した二人は、車に同乗して帰宅する途中、何者かに仕掛けをされた時限爆弾を発見、何とか協力して難を脱する。

その頃、秘密の場所では、リーダーらしき男(中丸忠雄)が、北見暗殺に失敗した5号(伊吹徹)らを処刑していた。

さらに、くちづけを利用して、相手を暗殺する技を持つ6号(水野久美)に、北見暗殺の命令が下る。

柳生と北見は、失踪した世界統一思想を持つ元ナチスメンバー、ワグナー博士(ハロルド・コンウェイ)が、事件に関係していると考え、その調査に乗り出すが、何者かに執拗に攻撃を受ける。

6号も北見への接近に成功するが、その命を奪うまでには至らなかった。

やがて、黒木隼人(松本染升)が社長を勤めるワールド電器の支部が怪しいと目を付け潜入した北見であったが、まんまと敵の手に落ち幽閉されてしまう。

そこには、誘拐されていた竜野博士や、暗殺に失敗した6号の姿もあった。

ワグナー博士以下、世界統一同盟という狂信グループが狙っていたのは、遠隔地から核爆弾をも含む爆薬類一切を自在に操作できるゼータ光線の威力を世間に知らしめて、世界を屈服させようという恐ろしいもの。

その実験のターゲットに選ばれたのは、夢の超特急「ひかり」であった…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

三橋達也扮する国際秘密警察、北見次郎の活躍を描くシリーズ3作目。

この頃になると、明らかに「007シリーズ」の影響が強く出ており、秘密兵器的な小道具が出て来たり、スぺクターを連想させる組織が登場したりしている。

さらに、監督の趣味もあってか、コメディタッチの演出が増えているのも特長。

特に、竜野博士邸で敵に捕まり、机に結わえられた柳生警部と宮地の二人が、毒ガス攻撃から逃れようと、一致協力して難を逃れるシーン等、「インディ・ジョーンズ 最後の聖戦」での、ナチスに捕らえられたインディ親子を連想させる面白さで、監督の冴えを感じる。

特に、本作で、コメディリリーフ的な役柄を演じている宮地こと、二瓶正也の存在は楽しい。

基本的には、一匹狼的な存在であったはずの北見が、柳生警部というコンビと一緒に活躍する様は、同じスパイものでも「0011 ナポレオンソロ」に近いかも。

「新幹線爆破」のアイデアが、この時点ですでに映画化されていた事は驚きだが、良く考えてみると、時限爆弾を持ち込んで爆破するのと、ゼータ線で遠隔爆破するのとでは、別に違わないではないのかなど、根本的な疑問点も湧かないではないが、そこはあくまでも荒唐無稽なアクション娯楽という事で目をつむる事にしよう。

ユーモア性が強調されているため、サスペンスやアクションものとしては、今一つものたらなさが残る作品ともいえるが、全体的に、お気楽気分で観るにはちょうど良い程度の軽いタッチの仕上がりにはなっている。