1954年、三井芸術プロダクション、清水崑原作、飯沢匡脚本、藪下泰司作画演出作品。
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ワイシャツ姿の一人の男性が、机の上の紙に、筆で、泳いでいる河童の絵をスラスラと描いて行く。
この部分は、実写である。
線画の上から、薄墨を入れ終わったところで、絵の右下に崑のサイン。
男性は、河童の漫画家として有名な清水崑氏だったのである。
物語は、この絵がセル画に変化してアニメになった所から始まる。
河童の子供、川太郎は水中を泳いでいる所を、父親が投げ込んだ網にかかって釣り上げられてしまう。
河童の村では、川太郎の友だちのハヤコちゃんが、父親のハヤキチさんの行司で、相撲をとって遊んでいた。
やがて、河童の村では、あちこちで夕餉が始まる。
湖でとれる魚が、河童たちの常食であった。
ところが、そんな河童の村に嵐が訪れる。
その嵐がおさまった後、不思議な事に、湖の魚はほとんどいなくなってしまったのである。
食料をめぐって、たちまち、河童の大人たちは喧嘩を始める。
村中で対策をあれこれ話し合うが、うまい解決法は誰も思い付かなかった。
お腹を空かせた川太郎とハヤコは、食料になるのではないかと、トンボつりをしていて、大嫌いな犬に追い掛けられる。
怖くて、どんどん逃げる内に、二人は、来た事のない森の中に彷徨い込む。
そこには、河童の村の湖に繋がるかっぱ川の源泉があり、二人はそこが、先日の嵐で崩れ落ちたらしい大きな岩でふさがれているのを発見する。
彼らは、急いで、上流の湖にいる魚を証拠として捕まえて、村人たちに知らせに行くのだった…。
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キャラクターは愛らしく、動きも滑らか、ストーリーも短編ながら、なかなか楽しめる展開になっている。
1912年生まれの清水崑氏は、この当時、40過ぎくらいのもっとも脂の乗り切った時期で、その姿が映っているだけでも貴重である。
藪下泰司の技量は安定しており、嵐のシーン等もなかなか見ごたえがある。
どこか、人間社会を投影しながらも、ほのぼのとした河童たちの生活は、今観ても、心癒されるものがある。
