1974年、東映京都、金子武郎脚本、中島貞夫脚本+監督作品。
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ゴーゴーバーで、退屈そうに店番をしているママと呼ばれる若い女。
そのバーでは、やがて、乱交パーティが始まるが、女は全く興味ないように、一人、店を抜け出すと、止まっていた赤い車に乗り込み走り出す。
一方、河原で穴を掘っている男が二人。
そこに、自動車がやってきて、男たちが数人降りてくる。
金貸の田川という中年男が、マリー(加納えり子)という女から引き離されて、ヤクザらしき男たちから暴行を受けはじめる。
やがて、逃げ回る田川を追っていた兄貴分らしき男(内田良平)が、殺しの依頼金と思しき500万の札束を、穴を掘っていたチンピラの目の前に落としてしまう。
その金を見たチンピラは、思わず、札束を掴んで車で、その場から逃げ出す。
世田谷の用賀付近の路上で、女の乗った赤い車と、チンピラが乗った車が衝突してしまう。
車から降りたチンピラは、女に近づき、思わず油断して煙草をくわえ、捨てたマッチの火が、漏れていた車のガソリンに引火し、たちまち二台の車は大爆発してしまう。
それを目撃して近づいてきた車を盗み、乗っていた青年を轢いて逃げ出した二人は、互いに名乗りあう。
チンピラの名は、片桐次郎(渡瀬恒彦)、何をやっても長続きせず、田舎に住む妹が、やむを得ず多額の使い込みをしてしまったという知らせを受け、その金を作るためにヤクザ達の仲間になったらしい。
女の方は、日々の退屈さに絶えきれず逃げだした聖子(ひじりこ-梶芽衣子)といった。
片桐は、大金を手にした事で気が大きくなり、馬が合う事が分かった聖子と共に、故郷へと逃避行を始める。
しかし、途中、うっかり陸橋から札束を落としてしまった次郎は、通行人たちから金を奪い取られてしまい、近づいてきた警察官から逃げるのびるのがやっとという状況になる。
さらにまずい事に、次郎と聖子は、追ってきたヤクザたちからも見つかり、逃げる途中に乗っていた車が衝突、そのはずみに、次郎は割れたフロントガラスで左手の人さし指を切断してしまう。
苦痛に呻く次郎を助けながら、たまたま止まっていたコンテナに身を隠した二人だったが、あろう事か、事情を知らない運送業者がやってきてコンテナに外から錠をかけられ、そのままトラック、列車へと移され、中に閉じ込められた二人は、行き先も分からない土地へと運ばれて行くのだった…。
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偶然に出会った若い男女が、逃避を続ける内に、段々、犯罪に手を染めて転落して行く様を描いて行く。
日本版ボニーとクライド(「俺たちに明日はない」1967年)とでもいった所か。
ヤクザの子分役を演ずるは、室田日出男と川谷拓三。
渡瀬演じる次郎の方は、本来、人の良い青年である。
一方、無表情で眼光鋭い梶芽衣子演じる聖子の方は、そこ知れぬ虚無感を抱えた意志の強い女である。
後半は、その聖子を中心とした『女性版ハードボイルド』とでもいうような一面を見せ始める。
他の男優たちに一歩もひけを取らないばかりか、物凄い存在感を見せる梶芽衣子の迫力。
途中、ちょっとユーモラスな中古車屋のオヤジとして登場する山本麟一も印象的。
