1959年、おとぎプロ、横山隆一監督作品。
▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼
豊かで平和なカエルの国、ケロケロ国に、ある日、海賊旗をなびかせたダンベエと子分のケロハチが乗った木の葉船が乗り付ける。
その頃、愉快なカエルの村では、正直者のゼンスケが、雀相手に「おばけひょうたん」のお伽話を話して聞かせていた。
ケロケロ国には、ひょうたんに住み、その中から沸き出す米を雀たちに授けていた、マリア様のようなひょうたんすずめという貴いすずめが住んでいたのだが、飛んでいる所をいたずらカエルのデンベエが発射したパチンコの石に当たり負傷して地上に落ちてしまう。
それを道で拾い上げたのがゼンスケ。
彼は、娘のピョン子と一緒に、自宅で傷付いたすずめを介抱し、ようやく直って家に帰れるまでになったひょうたんすずめだったが、途中、雨に打たれ、又弱った所をデンベエに捕まり、芸を仕込まれサーカスの見世物にされそうになる。
それを伝え聞いたゼンスケは、駆け付けてデンベエと大げんかになるが、それを加勢しようとしてデンベエの持っていたパチンコを弾いていたひょうたんすずめは、自らすっぽ抜けたパチンコにぶつかり死んでしまう。
それからというもの、デンベエのいたずらは歯止めが効かなくなり、ケロケロ国の王様になろうと、村中をパチンコで破壊しまくるのであった。
ゼンスケとピョン子は、自分達が作ってやったひょうたんすずめの墓から突然木が生えて、大きなひょうたんがなったので、それをもいで帰る事にする。
そのひょうたんからは、溢れるように米が次々に沸き出してきた。
デンベエは、そのひょうたんが欲しくてたまらなくなり、新しいひょうたんすずめを発見すると、その中のすずめを又パチンコで殺して、ひょうたんを奪うのだが、そのひょうたんは伝説の「おばけひょうたん」だったのだ。
▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼
「フクちゃん」などで一斉を風靡した漫画家の横山隆一が、鎌倉の自宅に作ったおとぎプロで製作し、東宝で公開された長篇アニメ。
東映動画が企業として商業アニメを始めたのと同時期に、あくまでも個人プロダクションとして、これだけの作品を作り上げていた事実に驚かされる。
「侵略反対」などといった大人向きのメッセージを読み取る事もできると思うが、基本的には、「いたずらしてはダメだよ」「人に迷惑をかけてはダメだよ」というくらいの、子供向けの教訓を含んだ楽しいお伽話という感じで観るのが良いのではないか。
悪役のデンベエも含め、カエルたちのキャラクターは皆愛らしいし、カエルのポリスマンが乗るカタツムリのパトカーや、ケロケロ国の王様になったデンベエが、国民たちに作らせるデンベエスフインクスや逆さピラミッドなど、アイデアの数々も楽しい。
注目すべきは、後半登場する「おばけ」のキャラクター。
幼児を意識してのことか、いわゆる「不気味で醜いモンスターイメージ」にはしていない。
SFの宇宙人か何かを連想させるようなモダンな感じのおばけなのである。
こういう所にも、漫画家としての横山氏の良心と節度とセンスの良さがうかがえる。
今の感覚からすると、いかにものんびりした寓話といった感じの展開で動きもリミテッドなのだが、ちゃちな感じは全くなく、美しい色彩設計もあって、実に本格的な劇場用アニメになっている。
動画に鈴木伸一氏なども加わっている。
