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ひばり姫初夢道中

1952年、松竹京都、八住利雄脚本、大曽根辰夫監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

青空城のひばり姫(美空ひばり)は、父親である病気の殿様(永田光男)に変わってお伊勢様への代参に出かけた帰り道、狼藉ものたちの襲撃を受ける。

お供をしていた甲田(高田浩吉)と乙川(森川信)に守られて、かろうじて逃げ延びた姫だったが、隣国黒鷹城と結託し、青空城を乗っ取ろうと企む悪家老赤倉大膳(小林重四郎)による包囲網は執拗で、結局、ひばり姫は木こりの少年の格好に着替えていた途中で、追っ手と戦うため討って出た甲田、乙川とは離ればなれになってしまう。

その後、ひばり姫は、愚鈍な兄である大之亮の誕生祝いとして城に招かれていた六助一座という旅芸人の荷物に中に忍び込み城に入ると、無事父親と再会するのだが、大膳の陰謀を説くひばり姫の話に全く耳を貸そうとしない殿様によって、ひばり姫は逆に叱責され城を追われてしまうのだった。

仕方なく、旅芸人の荷物の中に舞い戻り城の外に出たひばり姫は、胴巻きを盗まれたと騒ぎだした座長(伴淳三郎)に、偶然見付けたその胴巻き返してやる代わりに一座の正式メンバーとして採用してもらう事になる。

胴巻きを盗んで、荷物の中に隠しておいたのは、一座の一員であった梢(宮城千賀子)だったのだが、彼女は、赤倉大膳に夫佐吉を殺され、乳飲み子を抱えている事もあり、暮らしに困った父親忠八が、その大膳の手下である大六(堺駿二)から金を借りたばっかりに、強引な取り立てにあってしまい、やむにやまれず盗みに手を染めるようになっていたのであった。

水芸とその美貌で六助一座の大看板であった千秋太夫(神楽坂はん子)を、大六一味に誘拐されてしまった座長は、売り物がなくなり途方に暮れるが、その窮地を救ったのが、まだ子供と見えたひばり姫であった。

ピンチヒッターとして舞台に出た彼女は、得意の歌と踊りで観客から大喝采を受ける事に。

しかし、ある日、「つばめ太夫」と名を変え活躍していた舞台上で、その正体を見抜いた大膳配下の者たちに襲われたひばり姫は又逃げ出し、川に飛び込んだ所を助けてくれたのは梢の父親だった。

ひばり姫は梢の身の上を全て知る事となり、悪辣非道な大膳への復讐を誓うのだった…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

15才のひばりが歌に芝居に活躍するアイドル時代劇。

男の子に化けていたひばり姫が飛び入りで出た舞台で、奴さんや、不細工な子守り娘、小坊主など、年頃の娘なら嫌がりそうな扮装をあえてして、堂々と歌う様は、天性のプロ根性を感じさせる。

高田浩吉や堺俊二などは、ひばりとの共演が多く、顔も馴染んでいたが、「男はつらいよ」の初代おいちゃんこと森川信の若さには驚いた。

声でかろうじて森川信と分かったが、顔だけ観ていると、なかなか凛々しい若者で、ちょっと二枚目風でもある。

高田浩吉はもちろんの事、春吉役の川田晴久や神楽坂はん子の歌声も楽しめるが、芸人一座のメンバーとして登場するミス・ワカサ、島ひろしの漫才コンビの話芸が楽しい。

ポンポンまくしたてるミス・ワカサとおっとりしたひろしの掛け合いは、今でいえば、大介・花子のパターン。

お笑い芸人の出演者が多いからか、伴淳は、本作では意外にも受けの演技に終止している。

15才のひばりと芸人一座の話だけでは、大人向けのサービスが足りぬとの判断からか、色っぽい宮城千賀子の登場シーンもかなり多く、クライマックスでは彼女の踊りも披露される。

ひばりと宮城千賀子のダブル主演といった感じの作品になっている。