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幽霊VS宇宙人

この作品、別に「フレディVSジェイソン」みたいに、幽霊と宇宙人が戦う話ではありません。

「怪談 こっちを見ないで…」(豊島圭介+清水崇脚本、清水崇監督作品)
「ぼくの宇宙人」(豊島圭介脚本+監督作品)
「怪猫 轢き出し地獄」(清水崇脚本+監督)
「食卓の宇宙人」(豊島圭介脚本+監督作品)

以上、各々独立した4本の短編をまとめたビデオ作品集です。
でも、一応、単館レイトショー公開という形で、この夏劇場公開されましたから、今年の日本映画の一本という事になるのでしょうか?

知人の葬式に母親が出かけた夜、一人ぽっちで留守番をする事になった忌野秀一は、ホラービデオを観ていた事もあり、ちょっとビビリ気味。
久美子ちゃんからもらった人形も何だか薄気味が悪い。
そんな中、間の悪い事に、古くなった刺身を食べていた秀一は腹を下し、トイレに駆け込む。

そこで彼を待ち受けていたものは…という「怪談 こっちを見ないで…」。

20年前に父親をUFOに連れ去られた過去を持つ青年が、カノジョと一緒に「ベントラ、ベントラ」とUFOを呼び続けている。
他方、カレシとの間に出来た赤ん坊を失い、ビルから飛び下り自殺しようとしていた別の若い女性の前に、空から旅行鞄が落ちてくる。
その中に入っていたのは…という「ぼくの宇宙人」。

久美子ちゃんとドライブ中、知らずに猫を轢いてしまった忌野秀一は、後日、二階の勉強部屋で怪し気な猫の足跡を発見する。その汚れを拭いている最中、勉強机の引き出しが静かに開き、そこから呪いの藁人形を持った猫男が出現する…という「怪猫 轢き出し地獄」。

宇宙人の存在を信じている冴えない中年男が、自宅の屋根から「ベントラ、ベントラ」とUFOを呼んでいると、隣の敷地にゴルフバッグが落ちてくる。
妻と息子、娘のいる食卓に持ち帰り、それを開けてみると…という「食卓の宇宙人」。

全てコメディホラーである。
とはいっても、各々面白さのタイプは違っており、

「こっちを見ないで…」は、現代風の醒めた視線と古典的な怪談が拮抗している感じの話。
「ぼくの宇宙人」は、どこかシュールな展開とナンセンスさがミックスしたような話。
「轢き出し地獄」は、某有名国民コミックのパロディ風ドタバタコント。
「食卓の宇宙人」は、家族の本音をあぶり出す風刺劇…と、持ち味は違っている。

個人的には「怪猫 轢き出し地獄」のバカバカしさが一番気に入った。

勉強机の引き出しから出てくる胸に袋を下げた猫男。
途中からメガネをかける秀一。
やはりメガネをかけた母親が、二階に持ってくる茶菓子はドラ焼き…。

怪猫譚と、このコミックを合体させたアイデアが秀逸!

劇中に登場する、謎の男性コーラスグループ「ダンディ・ジャックス」もとぼけていておかしい。

トークショーでの清水監督御本人の話によると、御自分で監督した2作品は、共に御自身の自宅で撮られたものらしく、4作品とも、あくまでも超低予算のビデオ作品である事をお忘れなく。

あまり、過度な期待を持って観るような種類のものではないと思う。