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ザ・コア

パターン通りに始まり、パターン通りに展開し、パターン通りに終わる、典型的なデジタル見せ物大作。
主人公らしき人物は何があっても生き残るし、地味なキャラクターや嫌な性格の人物は必ず途中で犠牲になる。すべてお約束通り、観客の予想通り…の展開を、何も考えずに受け止める…そういう種類の作品である。

後半、その主人公らしき人物が絶体絶命のピンチに教われ、仇役のような人物が助かりそうになったので、一瞬、ン?…と思わせたりもするが、その後のあまりにも(笑ってしまうくらいに)安易な逆転劇に、この製作者、ハリウッドパターンをギャグにしているのかな?…と疑ったくらい。

だから、この手の映画は、あくまでも「動く漫画」として楽しむのが肝要。
人間ドラマなんかに多くを期待してはいけない。
そうはいっても、「空想映画」の肝はやっぱり新鮮な「驚き」。
その驚き要素が少ない作品は、やっぱりどこか物足りなさを感じるものである。

さてこの作品、基本的な発想は悪くないし、ミステリアスな出だしの異変描写もそれなりに見せてくれるのだが、その着想の面白さに頼り過ぎてしまい、途中からの展開(特に視角面での工夫)があまりにも平凡になってしまっているのが惜しい。

後半のサスペンスがさほどでもないのは、人物たちが外に出られるような状況ではないので、結局、探検船内と地上の指令室など、大半のシーンがセット内での密室劇に終始してしまっためだと思われる。

地中での異変は全て「モニター上の画像」か、CGを使った「仮想空間」的な客観情景描写ばかり…。 (地上での異変描写も、人間に重きを置いたものではなく、あくまでも見せ物的なもの)
これでは登場人物たちのアクションも限定されてしまうし、「危機感」もすべて「ゲーム感覚」以上のものにはなり得ず、手に汗するような緊迫感なんて望むべくもないだろう。

主人公たちが立ち向かう脅威が、人間(もしくは人間的な存在)ではないので、微妙な「駆け引き」とかそれに類する心理サスペンスなども入り込む余地がなく、全体がどうしても大味な脱出劇みたいになってしまった事、さらに一見生真面目な科学的考証が、地上での異変のアイデアにおいては効果があったものの、地中世界でのイメージ作りには逆に足枷をはめてしまった点も残念。

地中の世界に、巨大な茸の森があったり、恐竜がいたり、地底湖があったり、地底人と遭遇したり…といったような、牧歌的な異世界のようなものは、さすがに今となっては時代錯誤だとしても、もう少し、登場人物たちが肉眼や肌で異世界と接触が出来、なおかつビジュアル的にも意外性に溢れ、観ている方もすんなり感情移入できるような冒険世界を構築して欲しかったような気もする。

とにもかくにも、最初から「動く漫画」と割り切って観さえすれば、それなりに楽しめるB級空想映画にはなっていると思う。