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千年女優

「リターナー」同様、マニア世代特有の過去へのオマージュというか、既成作品のイメージを再構築したような発想で作られている。

邦画黄金時代を生き抜いてきた老女優(原節子か高峰秀子辺りを連想させる)を、彼女の大ファンで、自身もかつて撮影所にいた映像プロダクションの男が、インタビューしながら、過去を甦らせていく…という構成になっている。

彼女が所属していた映画会社は、大映、東宝を中心とし、それに松竹や東映を若干ミックスしたようなイメージか?

イメージが新たなイメージを呼び、それらが互いに融合し…といった、アニメ特有のお遊び精神にも溢れ、過去から近未来(?)への邦画の歴史を一挙にたどっていく楽しさが味わえる。

技術は一流で、邦画ファンには、どこか、くすぐったいような魅力があるのだが、意味ありげな展開のわりには、結末はあっけない…というか、取って付けたような印象を覚えるのも確かだ。

映像イメージに対するこだわりはあっても、テーマや人間そのものに対する探究心は希薄、もしくはどこかからの借り物…といったマニア作家特有の傾向が、ちょっと、気にならないでもないが、邦画独特の面白さが失われつつある現在、その楽しさに目を付けた着眼点は貴重かも知れない。

もはや、アニメというような形でしか邦画の魅力が再現できない…というのも寂しい限りだが…。