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インビジブル

「透明人間映画」は、古今東西、何本も作られており、この作品もその正当な後継作品と言うべきだろう。しかも、かなり、出来が良い一本である。
 ある若き天才科学者と、彼の仲間たちが、国(軍)の依頼を取り付け、生物の透明化の実験を続けている。冒頭部分から、透明化された動物による、いくつかのサスペンスフルなエピソードが、次々に紹介され、観客は、すぐにこの空想世界へ同化されて行く事になる。
 やがて、エキセントリックな性格の天才科学者自身が「透明化」する事になるのだが、一見成功したかに思えた実験も、「元に戻れない」トラブルが明らかになる。
 科学者はストレスと「科学的副作用」から、「危険な程、不安定な精神状態」になり、男本来の欲望も加わる事で、やがては「透明なモンスター」に変貌して行く。
 ここからは、世の男性が考える「透明人間になれたら…」の世界へまっしぐら状態になる。
 元恋人で、学者仲間の女性と、最初は心理的な戦いがあるのだが、「モンスター」になってからは、肉体的な「男と女」の戦いへと変化して行く演出が面白い。
 後は、バンホーベン監督独特の「クセの強い演出」が炸裂!「エロ・グロ・ナンセンス」全開状態のクライマックスになるのが嬉しい。
 アイデアを凝らしたアクション、サスペンスの連続。
 これでもか、と言うかのような、濃い味付けに、引いてしまう観客もいるだろうが、とにかく、文句なく最後の最後まで、楽しめる作品に仕上がっているのは確かだろう。