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火を噴く惑星

1961年度、ソ連映画。

金星を目指していた3機のソ連ロケットの内、1機が隕石に破壊される。

地球からの救援は遅すぎると判断した、残る宇宙船の乗組員たちは、金星に着陸する事を決意するのだった。

しかし、着陸した彼らを待ち受けていたものは…。

ソ連製SFの特長である、「生真面目さ」が前面に出た空想科学映画といえる。

登場人物たちは皆シリアスな演技をしており、ユーモアやアクションは控え目であり、あくまでも、大衆への啓蒙を含めた、科学映画らしい作りにしようとする、作り手の意図がうかがえる。

しかし視覚的にも、ハリウッド映画のような「けれん味」は薄いものの、恐竜、翼竜、食肉巨大花、ロボット、水陸両用車など、SFファンが喜びような要素は盛り沢山に用意されており、冒険娯楽作品としても楽しめる。

特に、アメリカ製ロボット(?)ジョンのキャラクターはユニークで、最後の最後まで印象に残る名演を見せてくれるのが嬉しい。

金星に降り立った時点から聞こえる、ローレライのような謎の声(?)

金星の海底に残る彫刻を発見する事で、にわかに知的生命体の存在がクローズアップされる。

しかし、調査をすすめる途中、大規模な火山の噴火に遭遇し、一行は、研究途中で帰路に付く事になるのだった…。

どちらかといえば地味な印象だった前半とは違い、途中の冒険行からは、それなりに楽しめる工夫も随所に見受けられるし、余韻を持たせたラストの印象は悪くない。

技術面、脚本面、演出面、各々、良い所と稚拙な所が入り交じっている感じで、大成功作…とは言いきれないかも知れないが、SF映画ファンにとっては、見所の多い佳作と言えよう。

ほとんど観る機会がないだけに、貴重な作品だと思える。