TOP

映画評index

ジャンル映画評

シリーズ作品

懐かしテレビ評

円谷英二関連作品

更新

サイドバー

ガリバーの宇宙旅行

1965年、東映動画作品。
脚本は、東宝特撮映画で有名な、関沢新一。
音楽は、富田勲。
若き日の宮崎駿が参加している。
貧しい少年テッドは、ただで観ていた映画「ガリバー旅行記」の劇場を追い出された後、車に轢かれそうになる。
その後、ゼンマイ仕掛けの人形「大佐」や子犬と夜の公園で遊んでいるうちに、ロケット花火に乗り、ある島に墜落するのだが、そこで出会ったのは、映画で観たのと同じガリバーであった。
年老いたガリバーは、最後の旅の目標を宇宙に定め、秘かにロケットを作っていたのだ。
テッドらも、その旅に連れていってもらう事になるのだが…。
キャラクターたちは良く動いているものの、話は古き時代ののんびりしたファンタジーの域を出るものではなく、強烈な印象は残りにくい作品だと思う。
今、注目すべくは、宇宙に出てからの描写が、最初は意外とリアルに作られているのに対し、後半はデザイン的な遊び感覚に溢れている演出に変化していっている所であろう。
ロボットたちに襲撃される王国星の描写など、ほとんど「アートアニメ」を連想させる、秀逸なグラフィカルワールドになっている。
今の子供には、少々退屈かも知れないが、大人が楽しむアニメとしては、再評価されて良い作品ではないだろうか。
特に、テッドの声を担当している、故、坂本九ちゃん(元祖「明日があるさ」!)やダニ−飯田とパラダイスキング!の懐かしい歌声を楽しむと共に、「最後まで希望を捨てるな!」というシンプルなメッセージは、今こそ多くの人に届いて欲しいものだと思う。
宇宙でのラストシーンは、宮崎の提言で変更されたと言われている。