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 ギャラクシ−・クエスト

こんなに、面白い「スタ−・トレック」映画は初めてである。
 「ギャラクシ−・クエスト」という、架空の元人気番組を設定し、徹底的に「スタ−・トレック」と、それを取り巻く「トレッキー」たちを、茶化しきっている。
 それらの事情を、少しでも知っていれば、この作品の視点が、いかに「つぼ」を突いた物であるかがすぐさま理解でき、おかしみが倍増する仕掛けになっている。
 では、「トレッキーたち」をバカにしているだけなのか、と言えば、そうでもなく、ちゃんと、マニアが狂喜するようなサービスシーンも満載されており、「オタク」礼讃の要素も合わせ持っているから、嬉しくなる。
 劇場版第一作目の「スタ−・トレック ザ モ−ション ピクチュア」を連想させる、巨大な「プロテクター号」の登場シーン。劇中の、TVレギュラーメンバーたちの視点と、観客の視点が同化するように仕掛けられたシーンは、実にうまいと言うしかない。
 くたびれかけた、元ヒーロー役者たちが、実際の戦闘に巻き込まれ、本当に人から頼りにされた事をきっかけに、自分たちのアイデンティティーを再確認する…という筋立てもうまいが、予算を掛け、きっちり手抜きなく映像化している事で、この馬鹿馬鹿しくも楽しい冒険コメディを、説得力ある物にしあげている手腕も見事である。
 登場するキャラクター全員が、一人一人、きちんと「立っており」、観客は、悪役の宇宙人を含め、全員に感情移入する事ができるため、この「奇想天外なストーリー展開」の中で、素直に、画面上の人物たちの、驚きや戸惑い、悲しみや喜びに共感しつつ、最終的な感動を味わう事ができるのである
 近年にない、「SFX感動コメディ」の快作だと思う。