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近年のSF映画がつまらなくなってきた原因は、CGの乱用とアイデアの枯渇である。

作品のレベルがB級、C級…と落ちて行くにつれ、映画の骨格であるアイデアは独創性を失って行く。

宇宙からやってきた悪い宇宙人が人間に姿を変え…なんて、何十年も昔から、それほど飽きるほど使われてきた陳腐きわまりないアイデアの極地であろう。

しかも、最初、何故か裸の人間状態だった宇宙人が、異変の調査にきた警官の身体を借り…とくれば、「オイオイ!一体、何年前のハリウッド映画パクってるんだよ!」と腰がくだけてしまう。

…かように、この映画、あちらこちらに、どこかで観たようなアイデアばかりが登場する。
それも、中途半端な解像度レベルのCG技術を使って…である。
観客にとって、もうこうしたレベルのCG技術には食傷気味というか、うんざりしているというのが正直な所。
モンスターデザインなども、ちょっと前の日本の漫画やゲームに登場してくるような、極めてありきたりのものでは…。

物語的にも、映像的にも意外性、衝撃感が希薄…というしかない。

香港映画らしい…といってしまえばそれまでだが、そういう受け止め方は、「少林サッカー」などのように、パロディ精神を生かしながらも、オリジナリティとパワー溢れる香港映画を観た後では、単なる偏見になってしまう。

さらに気になるのは、物語の中心となる女性が微妙に「老けて見える」点である。

この辺は個人的な主観が入るので断定はできないが、観客がこの女性を魅力的に感じるか、そうでないかによって、物語の最後の説得力が随分と違ったものになったと思う。

それにしても、凶悪宇宙人と戦う時にも香港人が「カンフー」を使うのは御愛嬌だが、最後に「ツボ療法」を持ち出したのには笑った。

全体的に凡庸な作品だが、唯一、このアイデアだけは買いたい。