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COWBOY BEBOP/天国の扉

テレビシリーズの映画化らしいが、そちらは観ていないので、映画版としてのみの感想という事になる。

 賞金稼ぎの主役メンバーたちが、ある事件に遭遇した事から、莫大な賞金をかけられた犯人を捜す…というストーリーである。

 全体の雰囲気はハードボイルドタッチであるが、物語の設定は未来の火星…という風変わりな組み合わせが、まず面白い。

SF的な雰囲気は極力押さえられ、あくまでも「現代のアメリカを思わせるような大都会」が舞台に作られており、「SFマニア」でなくても違和感なく見る事ができる。

前半部分は、メンバーの一人が偶然手に入れた写真データを元に探りを入れ始め、徐々に犯人像を絞り込んでゆく様が、緩やかなテンポで展開する。

 この辺の描写は、凝った都会描写とクオリティの高い技術力で、退屈させずに観客を引っ張っている。

 やがて、犯人との接触が行われ、両者の戦いが始まるのだが、この辺の盛り上がり方も成功している…と思える。

 ラストは、SFアニメらしい、スピーディーなメカアクションに加え、肉弾戦も丁寧に描かれており、見ごたえは十分にある。

 某有名SF映画を連想させるイメージが使われているが、それは、作者のファンサービスなのであろう。

 全体として、見事な色彩設定や丁寧な動きで、まさに「動くイラストレーション」のような完成度を持った、見事な大人の作品になっている…と思う。