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COSMIC RESCUE

単館公開の日本製宇宙映画という事で、一体どんな映像になっているのだろうと疑心暗鬼の気持ちで観てみたが、思いのほかコンパクトにまとまった短編SFというような出来になっていた。

このジャンル、過去日本では、ほとんど成功作らしい作品がない不毛の地だっただけに、今回、低予算、比較的ターゲット限定のアイドル主演作品という事で、作り手たちが最初からあまり多くを望まず、肩ひじはった作りにしなかった事が、結果的には良かったのかも知れない。

佐藤監督の前作「修羅雪姫」よりは、幅広い層(子供から大人まで)に受け入れやすい内容になっているのではないだろうか。

ただ、程よく、そつなくまとまっている…という事は、逆にいえば、さほどインパクトがある訳でもない…と、いえなくもない。

特に、この手の作品に、ハリウッド風の「奇抜さ」「派手なアクション」や「大スペクタクルシーン」などを求めている男性ファンなどには、正直、物足りないかも知れない。

宇宙映画の美術というのは、どうしても類型的になりがちなものだが、今回は低予算なりに、照明その他を含め、工夫は凝らされていたと感じる。

キッチュさと渋さが、ちょうど良い感じでマッチしていたのではないか。
宇宙船などミニチュア使用部分以外に関しては、そんなに安っぽさは感じなかったように思える。

今回ちょっと気になったのは、セリフの聞き取りにくさ。

音響装置は悪くなかったのに、特に、カミセンの3人と冴島達郎役の遠藤憲一、物語上、特に重要なポジションにあるこの4人のセリフが聞き取りにくく(声ははっているのに、言葉がくぐもって聞こえる)、途中、謎とき要素のあるドラマだけに、ちょっと残念に思った。

役者本人の発声法に問題があるのか、技術的な問題なのかは定かではないが、今後、改良の余地ありだろう。

それでも、カミセンの3人はなかなか凛々しいし、映像としてもそれなりのレベルには達しており、劇場で一度は観る価値はある作品だと思う。

国産実写宇宙映画…、そうめったに観られるものではないから。