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零戦黒雲一家

1962年、日活、菅沼洋原作、星川清司脚本、舛田利雄脚本+監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

現代の航空隊。
そこで初めての単独飛行に飛び立つ若者らの姿を見守る教官(浜田光男)が、自分が経験した戦時中の事を回想する形で物語は始まる。

山本五十六大将が戦死して4ヶ月後、南太平洋にあるバルテ島に一機のゼロ戦が飛来する。

それに対し、地上から曳光弾でふざけ半分に迎撃する日本兵たち。

到着したのは、新任の隊長谷村雁(石原裕次郎)であった。

彼は、無線機をわざと壊し、ラバウルからの司令を無視し、どうせ自分達は野外動物園のようなこの島で暮している員数外なんだと称し、自堕落に暮している兵隊達に活を入れる。

内地で上官を殴って飛ばされてきたという八雲上等飛行曹長はじめ、鉄砲勘太の異名を持つ松木勘太(内田良平)、北九州出身の離れ駒の辰こと、木津辰六(草薙幸二郎)、サングラス姿でうさん臭い滝源治(井上昭文)ら、一癖も二癖もありそうな札付きのワルたちは、そんな新隊長に反発する。

どうやら、前の隊長も、彼らが始末したらしい。

そんな中、谷村と気が合いそうなのは、設営隊隊長海野(大坂志郎)と、ドン牛とあだ名される兵隊(高品格)くらいであった。

谷村は、敵の定期便(爆撃隊)も素通りするようなその島の浜辺に、わざと、航空機の偽物を作らせはじめる。

八雲は、上からの命令で、わざと敵を誘き寄せ、自分達を全滅させに来たのだろうと、谷村に迫るのだった。

そんな中、敵に襲撃された船から漂着した女が発見される。

島の兵隊達総出で助けられたその女は、言葉遣いから慰安婦のようだったが、実は、八雲の昔の恋人で歌手だった平岩奈美(渡辺美佐子)であった。

やがて、敵のP-51が飛来、谷村、八雲らは数機しか残っていない零戦に乗って迎撃するのだが、その見事な腕前に、ワルたちは新隊長の実力を認めはじめて行く。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

驚くべき事に、零戦や敵機は、実際に飛行可能な改造機、さらに潜水艦も実際の潜水艦を改造したものが使われている。

もちろん、ミニチュアを使った特撮も交えているのだが、巧い編集もあって、それなりに見ごたえのある画面になっている。

前線基地に放り出されたまま、半ば忘れられたような存在となっている事を幸いに、逆に勝手気ままに生活している無法者部隊という発想は、岡本喜八監督の「独立愚連隊」(1959)ものなどと相通ずる所のある発想で、一種の寓話だと思うが、こういう形式を取る以外に、ガダルカナル以降の悲惨な戦争を、娯楽としては描き難いという事情もあるのだろう。

それなりにメッセージ性も伝わって来るが、あまりにも孤立した南の島という印象の方が強く、むしろ、漂流記ものなどを観ているような感じがする。

ロケは種子島で行われたらしいが、夕方の風景などが驚くほど美しい。

舛田利雄監督なので、何となくある種の結末を予想していたが、意外な事にヒューマンな展開になっており、後味は悪くない。

潜水艦長に芦田伸介が扮して、凛々しい姿を見せたりしているのも見所。


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