1966年、東宝、関沢新一+斯波一絵脚本、森谷司郎監督作品。
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昭和17年、日本軍の通信文は全て連合国側に解読されていたため、山本五十六大将の乗った飛行機は、ロッキードP38、16機に待ち伏せされ襲撃されてしまう。
物語は、この後のブーゲンビル島のブルンの航空前線基地で始まる。
ガダルカナル島の南にあるデュッセル島を攻撃せんと離陸しかけていた八生隊は、突然の敵空襲を受け、隊長(久保明)は戦死してしまう。
ここで、ようやく、暗号が全て敵に筒抜けであると悟った日本軍は古い乱数表を焼却処分してしまう。
残された八生隊メンバー、加賀谷(佐藤允)、菊村(土屋嘉男)、重政(江原達怡)、滝(東野孝彦)らは、新任の隊長を待つのだったが、やってきたのは「ゼロ戦乗りの神様」と称されていた伝説の名パイロット志津少佐の機だった。
しかし、そこから降り立ったのは、前田正助(小柳徹)というまだ少年兵だった。
聞けば、志津少佐は、すでに戦死したというではないか。
遅れて、上陸艇でやってきたのは、九段中尉(加山雄三)という聞きなれない人物だったが、加賀谷たちは、新任の彼をどこか舐めていた。
だが、その後、徐々に、九段の合理的な考えと、なみなみならぬ操縦技術を知るにつけ、一目を置くようになって行く。
いくつかの作戦を成功させた九段だったが、前田や菊村といった部下を失って行く。
さらに、偶然にも、ガダルカナル島に新設された電探(レーダー)を発見する九段と加賀谷。
そんなブルン基地に、神崎中将(藤田進)、草川参謀(中丸忠雄)ら、ガダルカナル島逆上陸部隊が立ち寄る事になるのだが、その時ちょうど九段中尉は、司令(千秋実)らに、電探を破壊しない限り、逆上陸作戦は成功しないと反対意見を述べていた所だった。
そんな九段の顔を見た草川参謀は驚愕する。
何故なら、彼ら二人は因縁めいた旧知の間柄だったからである…。
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森谷司郎監督の第一回作品である。
特撮は円谷英二で、全編、ふんだんにミニチュア特撮シーンが登場するが、正直、カット数が多すぎ、その出来は悪いというしかない。
ただ、そういうちゃちな特撮シーンを、ドラマの方が支えている感じである。
本来、ドラマが映画の中心で、特撮シーンはその補助のはずなのだが、この頃は、円谷英二の名前が有名になり過ぎたため、無闇に特撮シーンを売り物にしたチープな印象の作品が量産されていた頃である。
この作品も、特撮の円谷の名前と、当時人気絶頂だった加山主演という事が売り物だったのだろうが、なかなか、ドラマとしても見ごたえのあるものになっている。
主要なメンバーは、岡本喜八監督の独立愚連隊シリーズ「どぶ鼠作戦」(1962)と重なっている。
「どぶ鼠作戦」の方では、ひょうきんな男を演じていた加山が、本作では生真面目な隊長を演じている。
佐藤允の方は、大体、いつもお馴染みの豪快なキャラクターといって良いだろう。
特に、暗い話でもないが、かといって、愉快、痛快な話という感じでもなく、かなり生真面目な作風の娯楽作品といった所か。
監督デビュー作としては、まずまずといった所ではないだろうか。
