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木枯し紋次郎 関わりござんせん

1972年、東映京都、笹沢左保原作、野上龍雄脚本、中島貞夫監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

追っ手に追われる旅を続けていた紋次郎(菅原文太)は、立ち寄ったあばら家で、生まれたばかりの赤ん坊を間引きしようとしていた母親を見つけ、それを阻止し、わずかばかりの金子を分け与える。

しかし、中途半端に与えたその金子と情があだとなり、結局、その母子がその後心中してしまった事を知った紋次郎は、自分の過去に思いを馳せるのであった。

彼も又、貧しい家に生まれ、上二人の兄同様、間引きされかけたのだが、鎮守様の祭りの日に生まれた事と、唯一の姉に助けられる形で、かろうじて生き長らえる事ができたのであった。

貧困と飢餓のため、盗みを働き、近所中から暴行を受けていた幼少時の彼を助けてくれたのもその姉であった。

しかし、その姉お光も、13になった時、女郎屋に売られて行き、それ以来、その消息は知る術もなかった。

上州、国定忠治の賭場で遊んでいた紋次郎は、代貸しから、彼が斬り殺した今市の藤蔵の舎弟の金蔵(山本麟一)という男が、彼を追ってきているらしいという噂を聞かされる。

賭場を後にした紋次郎は、その賭場で儲けた金目的で襲われていた八幡の常平(田中邦衛)という男を助けてやる。

その事に恩義を感じた常平は、何とか、紋次郎に恩返しをしようと、彼が立ち回りそうな日光への裏街道の宿に先回りして、紋次郎を手厚く接待する準備を整えていた。

結局、その気持ちに答えてやる事にした紋次郎だったが、夜の相手をする女郎まで用意されていたのには呆れ返ってしまう。

断わる紋次郎を前に、いぎたなく居座ってしまったその女郎は、酒に酔い馴染みの子守り歌を歌いはじめるのだが、その歌声に覚えのあった紋次郎は、目の前の女郎こそ、昔別れた唯一の肉親の姉お光(市原悦子)である事に気付く。

翌朝早々、金を置いて旅立った紋次郎の事を、常平から聞いたお光も又、遅ればせながら弟の正体を知る事となる。

弟が有名人になった事を知ったお光は有頂天となり、その紋次郎に、ライバルの箱田の六兵衛(伊達三郎)を斬ってもらえたら、彼女を女郎屋から助け出し、店の一つも持たせてやると持ちかけてきた下瀧の巳之吉(大木実)の言いなりになってしまう…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

菅原文太主演の映画版「木枯し紋次郎」の第二弾。

一作目同様、中村敦夫主演のテレビシリーズとは、又ひと味違った肉親絡みの悲劇を描いている。

生まれた時から、ひとかけらの幸せにも縁がなかった女。
そんな彼女の前に突然現れた「有名な弟」という一筋の光明。

彼女が豹変して行く様はリアルであり、それが観る者の胸を締め付ける。

そんな姉の姿を、黙って全て受け入れてやろうとする紋次郎の気持ちも又哀しい。

救いのない結末が、いかにも70年代の作品らしい。