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白昼の死角

1979年、東映東京、高木彬光原作、神波史男脚本、村川透監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

昭和24年11月24日、東大の学生が始めた貸し金融業「太陽クラブ」が手入れを受け、その結果、代表だった隅田光一(岸田森)が事務所内で焼身自殺する所から物語は始まる。

事務員だった藤井たか子(丘みつ子)は、隅田と運命を共にしようとするが、同じ太陽クラブの仲間だった鶴岡七郎(夏木勲)に止められる。
同じく、仲間の九鬼善司(中尾彬)、木島良助(竜崎勝)らも、呆然と焼け落ちる事務所を見上げるばかり。

残された鶴岡、九鬼、木島の三人は、太陽クラブ以上の大きな事(それは、犯罪である事を承知の上で)をやろうと誓い、残された金で最後の豪遊をする。そんな木島の野心とそこ知れぬ才能に、かねてより深い付き合いのあった芸者の綾香(島田陽子)は心動かされて行く。

手始めとして、鶴岡ら三人が向ったのは、最近、悪らつな手口で伸し上がってきた金森(内田朝雄)という男の元だった。しかし、相手の方が役者が上で、子供扱いされていた最中、東栄産業の件で訪れたというサングラス姿の男(千葉真一)が、いきなりの事務所に乱入、隠し持っていたハジキで、金森の腕を撃ち抜いてしまう。

奇しくも、この騒ぎに巻き込まれた三人たちは、そのまま、サングラス姿の男を加勢する形となり、彼の後に付いて行く。どうやら、その男、とある新興グループのリーダーであるらしかった。
その事がきっかけとなり、三人とそのサングラス姿の男は付き合うようになって行く。

翌昭和25年2月、鶴岡は金融・手形を取り扱う「六甲商事」という小さな事務所を、藤井たか子と始める。

鶴岡らが手形詐欺の相手として最初に狙ったターゲットは、一億円の現金を欲しがっていた新陽汽船という会社であった。

彼ら三人は、用意周到に準備した大掛かりな仕掛けの中に、相手の専務(長門勇)を誘き寄せ、まんまと手形をパクってしまう。

東京地方検察局の福永検事(天知茂)は、この事件の背後には、ずば抜けた頭脳の持ち主が存在する事は推測しながらも、証拠を掴む事が出来なかった。

作戦は成功し、まんまと大金を手に入れた鶴岡らは、やがて、第二の詐欺事件を実行しはじめる。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

巧妙な金融詐欺の手口で、戦後の混乱期を生き抜いて行く秀才の姿を描いたピカレスク・ロマン。

冒頭に登場する「太陽クラブ」のエピソードは、金融業「光クラブ」社長が同年同日服毒自殺した実話を元にしてある。

角川映画らしく、ゲスト陣も多彩で、原作者の高木彬光、ガッツ石松、佐藤蛾次郎、藤岡琢也、主題歌の「裏切りの街」を歌っているダウンタウン・ブギウギバンドの宇崎竜堂、嵐寛寿郎、丹波哲郎、室田日出男、阿藤海、伊吹吾郎、沢たまき、西田敏行、佐藤慶、成田三樹夫、鈴木ヒロミツ、田崎潤、藤巻潤、内田良平、柴田恭兵、そしてもちろん、プロデューサーの角川春樹氏自身もいつものごとく登場するだけではなく、本作ではセリフもある長めの芝居を披露している。

2時間半にも及ぶ長尺で、しろうとには分かりにくい「金融詐欺」という世界を描くだけに、一見退屈しそうな予感があったのだが、意外と、最後まで見せられてしまった。

やはり、手形パクりの手口が、それなりに興味深く描かれているからだろう。

後半、エルバドル共和国大使館を舞台にした詐欺事件のエピソードで登場する、フランシスコ・ゴンザレスを演じているエドワード・J・オルモスという役者は、なかなか凄みがあってうまいな〜…と感心していたら、この人、「ブレード・ランナー」でガフをやっていた人ではないか!

角川映画では、「復活の日」にも登場している。
日本語も巧みだし、本格的な役者という感じだ。

惜しむらくは、物語の中心となる夏木(夏八木)勲らが、巧いのだが、大作の主役としてはちょっと華がないというか、地味な印象。
ストーリー自体、派手さで売る作品ではないだけに、このキャスティングでは、公開当時、今一つ興行的に弱かったのではないか。

決して、悪くない作品だと思う。


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