1962年、アメリカ、ジョージ・パル製作、ヘンリー・レヴィン監督作品。
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童話で有名なグリム兄弟の半生を、いくつかのファンタジードラマを挟みながら描いている。
1800年はじめ頃、大砲が轟き、ヨーロッパで激化しはじめた戦場の様子から始まる。
その戦場の側の町にある、とある公爵の屋敷。
ヤコブ(カール・ベーム)と、ウィルヘルム(ローレンス・ハーヴェイ)というグリム兄弟が、公爵から依頼され、屋敷で家史を書いている。
二人の住む家は無料で供与されており、すでに、半年になろうとするのだが、弟のウィルヘルムの童話収集癖のため、仕事は遅れに遅れていた。
ある日、帰宅途中のヤコブは知り合いの本屋から、グレタ(バーバラ・イーデン)という娘を紹介される。
彼の著書「古代法」のファンなのだという。
その頃の兄弟は、文法や法律書といった固くて売れないような本ばかり出していたのであった。
そして、ヤコブは、まだ独身だったのだ。
一方、ウィルヘルムの方は妻帯しており、二人の子供ももうけていたが、やはり、童話収集癖が災いし、夫や父親としての役割を怠りがちであった。
今日もウィルヘルムは、その二人の子供を寝かせるため、妻に黙って、仕入れてきたばかりのお伽話を聞かせるのであった。
ここで、毎晩、靴に穴をあけてしまう王女の謎をとくきこりの話が始まる。
森を降りる時、日頃親切にしていたジプシーの老婆から「姿の消えるマント」を貰い受けたきこりは、城へ行き、王女の謎を解くために、それを着て、彼女の夜毎の行動を追跡する。
さらに、「靴屋の人形」のお話。
クリスマスを間近に控えた年老いた靴屋は、お城で開催される王様のクリスマスパーティ用として、町長や踊子、猟師たちから、新しい靴を作るようせかされていた。
しかし、靴屋は、近所の孤児達へプレゼントするため、秘かに人形を作っていたため、仕事ははかどっていなかった。
そして、クリスマスイブの夜、靴屋のおじいさんが寝た後の店内では、不思議な事に人形たちが動きだして、靴作りを始めるのだった…。
現実の世界の方では、兄弟が、仕事の遅れを理由に公爵から叱責されていた。
後、三日で仕事を仕上げなければ、金を払うどころか、貸している家の家賃も払えという。
慌てて、資料捜しに出かける二人であったが、ウィルヘルムの方は、又しても、お伽話を子供達に話して聞かせるアンナおばさんという人物がいるという話を聞き付け、兄に無断で出かけて、アンナの話を盗み聞きしてしまうのだった。
それは、ドラゴン退治に出かけた騎士と従者のお話だった。
この話を聞いた後、慌てて帰宅途中のウィルヘルムは、川でそれまで書き溜めていた家史の原稿を川へ流してしまったばかりか、自身も雨に長時間うたれていたため、風をこじらせ、生死の境を彷徨う事になるのだった。
瀕死の彼の病床には、これまで彼が収集しながら、本にまとめないまま消え去ろうとしている童話の主人公達が集まってくる。
巨人、親指トム、カエルの王子、白雪姫、シンデレラ、赤ずきんちゃん、ヘンゼルとグレーテル…。
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途中休憩を挟む大長編である。
途中で挟まれるファンタジーの部分では、ジョージ・パルお得意のトリック撮影が巧く使用されている。
最初のエピソードの、消えるマントのトリック撮影も見事だが、何といっても見所は、「パペトーン」と呼ばれる人形アニメのシーン。
一体の人形を少しづつ動かして撮るのではなく、少しづつ表情や動きを変えた別々の人形を、あらかじめ何百体も用意しておき、それをヒトコマ事に置き換えて撮るのだという。
特に、「靴屋の人形」の動く人形と、「ドラゴン退治」でのドラゴンのシーンが見ごたえがある。
ハリーハウゼンのダイナメーションとも叉ひと味違った、暖かい印象があるテクニックだ。
再現されているエピソードが、どれも短いものばかりで、有名な「シンデレラ」や「白雪姫」がないのが、ちょっと残念。
進化したVFX技術を見慣れた今の目で観ると、かなりのんびりしたテンポだし刺激も少ないが、ファミリー向けに作ってあるため、子供から大人まで安心して観る事ができる良心的な作品となっている。
