それなりに、楽しく可愛い「おバカアイドル映画」になっている。
画面から推測する限り、本作は相当低予算で作られているようだ。
「ハニメーション」といっても、フォトアニメの延長のようなもの、特段、画期的とも思えない。
作り手側は、その予算では、正攻法のヒーロー(ヒロイン)活劇を作る事など最初から無理と判断したに違いない。(「CASSHERN」も、おそらく、似たような条件だったものと思われる)
その条件内で、可能な限り、作家が好きなように遊んでいるのである。
だから、これは作家映画であって、ハリウッド大作のような万人受けを狙った大量動員タイプの娯楽映画とは別のものである。
だから、その辺を予測しないで、原作コミックやアニメへの思い込みだけで観に行くと、肩透かしを食らわせられる事になるかも知れない。
考えてみたら、アイドル少女が色々な姿に変身してみせるという発想自体は昔からあったものである。
美空ひばりだって「狸御殿」ものなどで七変化をしているし。
昔は「狸が化ける」という単純な発想だったものが、「ナノテクを使ったIシステム」などという、現代風のもっともらしい理屈に変わっただけ。
理屈付けは変化しても、バカバカしい嘘話を笑って楽しもうという趣向自体に、昔も今も変わりはない。
本作には、1970年の大阪万博前後の雰囲気を知っている人にとっては、懐かしい響きやイメージがちりばめられている。
そういう意味では、意図的に世代限定にしているのかも知れない。
万博前後の時代を知る人にとっては、そういう隠されたアイテムを捜す楽しみもあるだろうし、そういうアイテムが理解できない人でも、それはストーリー展開には直接関係ないものなので、単純に楽しめばいいだけの事である。
基本的には「おバカ映画」のノリだと思う。
ただ、こういう「おバカ映画」や「アイドル映画」特有の技術的なチープさ(おそらく、かなり意図的な演出だとは思うのだが)や、オチャラケ調の語り口についていけない人は必ず入ると思う。
その辺が、本作の評価の分かれ目だろう。
個人的には、「おバカアイドル」ものとしては、まずまずの出来なのではないかと思う。
