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山田ババアに花束を

1990年、東宝+フィルムフェイス、花井愛子原作、吉本昌弘脚本、大井利夫監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

清花ミッション女学院の生徒、神崎瑠奈(西田ひかる)は、パパが仕事の関係でシドニーに行っているのを幸いに、クラスメイトの岸真由子(仁藤優子)と一緒に、毎夜ディスコで遊びまくっていた。

そんな彼女の御乱行振りを発見したのが、女学院のオールドミス教師、山田正子(山田邦子)。

真面目一方で厳格すぎる山田先生は、生徒達から「山田ババア」とあだ名され、煙たがられていたのだったが、特に留学経験を持ち奔放すぎる性格の瑠奈とは犬猿の仲であった。

ディスコでは何とか逃げだせたものの、後日、帝都大医学部の学生でボーイフレンドの戸倉真人(高嶋政伸)とデート中の現場を山田ババアに見つかってしまった瑠奈は、とっさに仮病を装い、それがやぶ蛇となって、真人の実家である病院まで、山田ババアに付いて来られる始末となる。

そこに偶然、怪我をした少年を抱えた渋谷南署少年課の刑事、水沢(古尾谷雅人)が訪れる。
水沢は、山田ババアの姿を発見、何やら、顔見知りのような様子を見せる。

さらに、それから数日後、かねてより、山田先生にお見合いをすすめていた彼女の母親(野村昭子)と教頭(出光元)の計略に、瑠奈が協力する形となり、彼女の両親がパーティに招待すると偽って、山田先生をクルーザーにおびき出す。
何と、見合い相手として、その場に現れたのは、あの水沢刑事だった。

興味本位から、船に忍び込んでいた瑠奈と、騙されたと分かって憤慨していた山田先生は、船の上で遭遇、互いにもみ合いとなり、そのまま海中に落下すると、二人の身体は光に包まれる。

クルーザーに助け上げられ、目を醒ました二人は、互いのからだが入れ代わっている事に気付き、パニック状態になる。

しかし、どう説明しても、周りの誰もその異変を理解してくれそうもなかった。

やむなく、二人は、各々相手の家に戻る事になるのだが…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

二人の心が入れ代わってしまうという発想そのものは、「転校生」や「フォーチュン・クッキー」など、色々あるが、本作もその一つ。

もともと、花井愛子のジュニア小説が原作である事からしても、少女を対象にした他愛無いラブコメファンタジーである事が分かる。

最初の内は、西田ひかる主演のアイドル映画なのかと思って観ていると、後半、だんだん、この作品の本当の主人公は山田邦子の方だったのが分かって来る。

これは、邦ちゃんのアイドル映画なのだ。

テレビでその姿を見かけなくなった今の感覚からすると、ちょっと不思議な感覚もあるが、1990年当時、紛れもなく、邦ちゃんの方がテレビでは人気者だった。

原宿に彼女のタレントショップなどが賑わっていた時代ではないだろうか。

全体としては、テレビドラマと大差ないレベルの作品のように思えるが、少女向けドラマとしてみれば、古尾谷雅人の存在感も光っており、まずまずの出来と言えるかも知れない。

当時としては、邦ちゃんと西田ひかるで、十分、映画館に客を呼べると考えての企画だったのだろう。

後半、「二の線」になっていく邦ちゃんの演技に、ちょっと違和感を覚えないでもないが、彼女目当てに映画館に出かけた当時の観客には、満足だったのかも知れない。

しかし、邦ちゃんのファン層って、一体、どういう人たちだったのだろう?

今考えると不思議な気もする。

西田ひかるの方は、今見ると、普通の子どもにしか見えないし、瑠奈に振り回される真面目な青年役の高嶋政伸は今も印象はほとんど変わらない。

若々しい古尾谷さんの姿を観ていると、彼がすでに他界している事が信じられないくらいである。

色々な意味で、時代の流れを感じさせる作品になっている。