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東京上空三十秒

1945年、アメリカ、マ−ヴィン・ルロイ監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

太平洋戦争勃発後、ジェームズ・ドゥ−リトル中佐(スペンサー・トレイシー)は、目的を明らかにしないまま、B25を三機と志願兵たちを妻諸共フロリダに集める。

やがて、集結してきた志願兵達は、ドゥ−リトル中佐から作戦の詳細は一切明らかにされないまま、秘密の訓練に参加させられる事になる。

極めて短い滑走距離で飛行機を離陸させる訓練だった。

そんな中、志願兵の一人でパイロットのローソン中尉(ヴァン・ジョンソン)は、久々に再開した妻のエレン(フィリス・サクスター)から、赤ん坊を妊った事を知らされて喜ぶ。

やがて、彼らはB25諸共、空母ホ−ネットに乗せられ、そこで、今回の計画が、日本の主要都市、東京、横浜、大阪、名古屋への空襲である事を、ドゥ−リトル中佐から聞かされるのであった。

目的を達成した後は、中国の常州へと飛び、そこから重慶へ集結するという計画であった。

護衛艦に守られながら、日本に近づいた彼らは、敵船に発見されたため、予定より早く、日中に出撃する事になる。

ローソンの乗ったB25は、ほとんど敵の攻撃に遭遇する事もなく、東京を爆撃し終えると、そのまま中国へと向うが、中国の海岸にたどり着く直前に機体は海中に墜落してしまう。

乗組員達は全員一応無事だったが、パイロットのローソンは、足に重傷を負っていた。

やがて、中国軍に助けられた彼らだったが、付近に医者はおらず、やむなく、迫りくる日本軍の中、身を隠しながら移動するしかなかった…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼


「パール・ハーバー」の後半部分でも描かれた、1942年の実際の出来事の映画化である。

1945年の作品という事は、終戦の年に作られたという事であろう。

すでに戦勝国意識で作られているせいからなのか、意外な事に、「パール・ハーバー」で描かれているほど、好戦色は強くない。

前半の訓練期間の描写では、志願兵達の屈託のない日常が描かれている。
前年にパール・ハーバーを攻撃されて以降、直接的に本土への攻撃などを受けていなかったからか、日本と戦争しているというような切羽詰まったような気配は微塵も感じらず、志願兵の大半は、作戦の目的が日本攻撃であるなんて、想像もしていないように見える。

東京攻撃を告げられた後も、ローソンと友人ボブは、自分らは日本人を好きでも嫌いでもない…などと、淡々と話し合っている。

極端にいえば、東京爆撃は任務だからきっちりやるだけさ…という程度の印象にしか見えない。

B25が東京に近づいても、接近してきたゼロ戦は彼らに全く気付かないし、遭遇した日本の漁船は、彼らに手を振っている有り様。(この辺は、実際にそうであったのだろう)

であるから、東京爆破のシーンは、あっさりしたものである。

ちゃちな富士山の写真合成で、日本到着を暗示した後は、どこやら知れぬ田園風景が延々と続いて、どう見ても東京とは思えないような都市の上をローソン機は飛び過ぎていく。

巨大なミニチュアの工場を爆破した後は、すぐに日本上空を通過してしまう。

後半の冒険は、中国が舞台となるのである。
といっても、取り立てて、手に汗握る…というようなサスペンスやアクションはない。

日本兵らしき一群がちらり登場する以外は、日本人も日本語も一切登場しない。

基本的には、任務を中核としたローソン中尉のちょっとした冒険と夫婦愛物語として描かれているのだ。

当時のアメリカ人にとっては、実際に日本との戦いなんて、こんなあっさりした感じのものだったのだろうか…などと、ちょっと面喰らってしまう所がある。

何やら大袈裟な愛憎劇じみて描かれていた「パール・ハーバー」とは、好対照な作品。
両者を見比べてみるのも一興かも知れない。