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太陽への脱出

1963年、日活、山田信夫+山崎巌脚本、舛田利雄監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

国会の衆議院特別委員会では、東南アジアの動乱の地で、日本製の武器が使用されている問題点が、野党議員(内藤武敏)から激しく追求されていた。

若き新聞記者、佐伯(二谷英明)は、武器製作をしている旧財閥の大友系の貝塚製作所が怪しいと、デスク(宇野重吉)に取材の必要性を話していた。

ベトナム、サイゴンの地で、雑貨などを扱っているという第三商事という怪し気な貿易商が派遣した社員、杉浦利明(梅野泰靖)が失踪し、さらにその一ヶ月後、今度は同僚の速水志郎(石原裕次郎)までもが、自動車事故で亡くなったというのはおかしいので、それを取材のきっかけとして、自分をサイゴンに出張させて欲しいというのであった。

現地に飛んだ佐伯は、元陸軍兵長だったという日本人、作次(殿山泰司)に案内されて訪れたナイトクラブで、夜でもサングラス姿の中国人オーナー、竜という人物を見て、彼こそ、死んだといわれている日本人なのではないかと疑いだす。

実は、その竜こそ、速水の変わり果てた姿であり、杉浦の方も、身を隠すように現地で生きていた。

彼らは二人とも、当地で武器を売り捌く仕事を与えられた段階から、二度と日本へは戻れないと覚悟していたのであった。

しかし、杉浦の方は、ガラス工場に勤める妻秋子(南田洋子)が日本で待っている事もあり、ベトナムでの隠とん生活には耐えられなくなっていた。

そんな彼らは、ある日、新聞に載った尋ね人の記事を読む。
本社からの暗号で、帰国せよとの指令だった。

狂喜する杉浦に、自分らは帰国しても口封じに殺されるだけだと説く速水。

速水の家に勤めるメイドの愛蓮(岩崎加根子)は、秘かに彼を慕うようになっていたため、愛する速水を帰国させたくないという思いから、彼のパスポートを焼いてしまうのであった。

武器商売の実体を証言してもらう貴重な証人として、何とか速水らを帰国させようとする佐伯。

速水の決断は…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

ベトナムでのロケが売り物なのだが、はっきりいって退屈な作品になっている。

基本的には、社会派のテーマを前面に押し出したかったのであろうが、目玉となる前半のベトナム部分は、撮影許可などの問題点があったためか(市場などのシーンでは、現地のコーディネーターらしき人物が、通行人を早く移動するようにせかす手の動きが、そのまま映ったりしている)、単なる観光フイルムに取って付けたようなドラマがあるだけのような印象になってしまっており、正直にいって、だらだらした退屈な展開に終止している。

海外ロケに期待するような大掛かりなアクションもなければ、サスペンスもない。
裕ちゃんが独り、格好を付けているだけのようなドラマである。

この手の社会派ドラマの結末というのも、大体想像通りで、作られた当時としては、ちょっと異色だったのかも知れないが、今観て、これといったインパクトは感じられない。

本作で、いくぶん印象に残るのは、恋に殉ずる愛蓮役の岩崎加根子と、チコという名のベトナム人を演じている高品格、そして、いつもながらうさん臭い日本人を演じている殿山泰司くらいか。

海外ロケの難しさ、問題点を感じさせる作品である。