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忍びの者 続・霧隠才蔵

1964年、大映京都、高岩肇脚本、池広一夫監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

元和元年5月8日、 大阪夏の陣で陥落する大阪城。
攻める徳川家康(小沢栄太郎)は豊臣方の人間、特に、真田幸村(城健三朗=若山富三郎)の息の根を止めるように命じていた。

そんな中、小舟に乗って城を脱出した幸村と霧隠才蔵(市川雷蔵)は、追っ手らをかわし、何とか、薩摩藩にまで逃げおおせる事に成功する。

南晴幸と変名した幸村をかくまった島津家久(五味龍太郎)、義弘(沢村宗之助)親子は、家康を倒すには、最新式の種子島(鉄砲)を手に入れるしかないと考えていたが、三連発砲を作れる鉄砲師は、容易にその製造法を明かそうとはしなかった。

その頃、家康も又、新式鉄砲を研究している最中で、薩摩藩に南晴幸なる人物がかくまわれている事も先刻承知していた。他国物の侵入に厳重なはずの薩摩藩にも隠密が忍び込んでいたのであった。

才蔵は、藩内の道場主で城主の信任もあつい海江田一閑斎(浅野進治郎)をその隠密と気付き、彼を殺害してしまう。しかし、かけがえのない父親を失った一人娘の志乃(藤村志保)は事情を説明する才蔵をも許そうとはしなかった。

やがて、家康への復讐心に燃える才蔵は種子島へと渡り、鉄砲の秘密を探り出そうとする。
どうやら、地元の鉄砲師は明国と秘密裏に交易しているらしかった。

情報を集める才蔵は、島の飲み屋であけみ(藤由記子)、真鶴(明星雅子)という美しい姉妹と出会うのだが、実は、彼女達は家康から指令を受け、才蔵の命を狙う服部半蔵(伊達三郎)の配下のくノ一だったのであった…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

市川雷蔵主演の「忍びの者」シリーズ5作目。

時の権力に踏みにじられた下層の忍者が、その権力に独り立ち向かう様を描くパターンが基本だが、初期作品ほどのインパクトはないものの、本作では南の島を舞台に、異国情緒溢れる異色の展開が描かれている。

若山富三郎演じる真田幸村が、意外と気弱に描かれているのが珍しい。

その分、家臣の才蔵が孤軍奮闘というか、独り相撲を取らざる得なくなる姿が観ていて痛々しい。

父親を失い、生きる望みを失ってしまう志乃や、才蔵を殺す使命と、彼を愛してしまった気持ちとの相克に悩むあけみなど、登場する女性たちの姿も哀しい。

冒頭の大阪夏の陣の描写では、実際に実物大の塀を爆破するなど、迫力満点。

その分、後半のアクションは、やや地味な印象を受けるのが残念であるが…。

シリーズの中では、平均的な出来というべきだろうか。