1962年、東宝、田波靖男+松木ひろし脚本、古澤憲吾監督作品。
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駅の改札口で駅員に切符も渡さないで通り抜けたお気楽男、源均(みなもとひとし=植木等)は、路上で一人のサラリーマンにぶつかる。
長谷川と名乗るそのサラリーマン行き付けのバー「kokage」に言葉巧みに同行した源、長谷川が名音楽器という会社の営業部長をしており、王仁専務(犬塚弘)派に所属していると聞くや、すぐに、入院中で面会謝絶という事になっている名音楽器社長(由利徹)の部屋に図々しくも入り込み、マスコミの人間と勘違いする相手を煙に巻いたまま、見舞い品の果物籠をちゃっかり頂戴、それを今度は、専務のライバルに当たる幕田常務(人見明)の自宅に持って参上し、長谷川の名前を使ってちゃっかり挨拶を済ませてしまう。
さらに翌日、名音楽器の会社に出向き、何も知らない長谷川に再会した源、今度は初対面の王仁専務と勝手に掛け合い、言葉巧みに自らを入社させる事に成功する。
かくして、長谷川率いる営業部に転入させられた源は、地道に社員預金をしている同じ部署の丸山英子(団令子)に目を付け、彼女をお茶に誘い出すと、銀行に誘って、自分はこっそり一円で通帳を作ると、彼女を他人の結婚披露パーティが行われているホテルに誘うと、そこで勝手に飲み食いし、さらにはちゃっかり、その披露宴で仲人をしていた幕田常務にも挨拶をする始末。
あまりの傍若無人の源の行動に呆れながらも、英子はその底なしのバイタリティと度胸に魅力を感じはじめて行くのであった。
そんな英子は、同じ会社に勤める石沢厚子(藤山陽子)と同じアパートに同居していたのであるが、その厚子に熱を上げていたのが、彼女の上司の売り場主任でありながら、いまだに老母(浦辺粂子)と二人暮しをしている冴ない独身男中込晴夫(谷啓)。
ある日、長谷川部長は、無理を承知で、一千万の未収納金の取り立てを源に命ずる。
源は、会社の接待用施設と予算を無断で利用し、相手たちを持ち上げてはまんまと取り立てに成功するのであるが、その戻ってきた金の大半を自分の銀行預金に入金。
その200万円を見せ金として利用して、まんまと英子と結婚に漕ぎ着けてしまう。
さらに、同じように結ばれながらも、老母との同居が巧くいっていなかった中込夫婦を別居させ、自分達が住んでいた狭いアパートに来させる事にした源は、その代わりに自分達夫婦がちゃっかり中込の自宅に住みはじめるのであった…。
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あれよあれよという間に、世の中を調子良く渡り歩いてしまう主人公の行動は、御都合主義の塊なのだが、そこは理屈で考える暇もないほどのハイパースな展開に、観客側もただただ唖然と観ている他はない。
まさに、ホラ話の面白さ。
クレージーものお馴染みのメンバーによる定番的な展開といってしまえばそれまでだが、無責任シリーズの初期作品(二作目)だけに勢いがあり、脚本も冴えている。
派閥争いでぎくしゃくしている会社の中を、途中入社の源が勝手気侭に動き回る痛快さ。
サラリーマン社会への風刺も効いている。
これを観ていた高度成長期のサラリーマン達は、さぞ溜飲を下げた事だろう。
