1949年、大映、衣笠貞之助脚本+演出作品。
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当主が行方不明になった後、空家と化し荒れ放題になっていた甲賀世阿弥の屋敷に、上方からやってきた岡っ引きの万吉(河野秋武)が忍び込んでいた。
彼は、無人であるはずの屋敷内で、何やら物色中の総髪の浪人者の姿を発見する。
からくりだらけのその屋敷を抜け出した万吉は、近所の老婆(北林谷栄?)にその話をすると、その浪人者は、室川竜馬(徳大寺伸)という悪人ではないかと聞かさせる。
その名前を聞いて驚いたのは、老婆と共に暮していた見返りのお浜(山田五十鈴)という元芸者だった。
彼女は、竜馬に過去手酷い仕打ちを受けた事があるらしい。
一方万吉は、阿波の剣山に幽閉された隠密世阿弥の手になる隠し文字が印された竹筒を所持していたため、それを狙った阿波の侍たちと、眼八(小林重四郎)らから付け狙われていた。
再び屋敷の様子をうかがいにいって、同じく、そこを訪れた阿波の侍たちに発見され、追い詰められた万吉を救ったのは、水月弦三郎(長谷川一夫)という虚無僧であった。
弦三郎はその後、かねてより知り合いだった口の不自由な老人、四郎兵衛(村田正雄)と偶然再会し、彼の筆談によって、甲賀屋敷の地下に幽閉されているかつての恋人、 浪路(長谷川裕見子)の事を知る。
浪路は、世話係りのおたみ(浦辺粂子)と共に、甲賀屋敷に眠る世阿弥の隠し財宝を狙った周馬に捕まっていたのであったが、気がふれた芝居を続けて、弦三郎を秘かに待ち受けていたのであった。
やがて、弦三郎の忠告により、万吉によって目安箱の中に入れられた秘密書簡は、松平左京之介(白河書峰)と、その腹心、椚鴻山(薄田研二)の手に無事渡る事となった。
その書簡によると、世阿弥が幽閉されている阿波の剣山には、金の鉱脈があると書かれてあった。
一方、ふとした事から、自分が世阿弥の娘である事を知ったお浜は、甲賀屋敷に潜入し、竜馬に見つかって逃げる途中でからくりの中に落ちてしまうのであった…。
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今の感覚で観てしまうと、テンポも緩やかで地味そのものの内容なのだが、謎のからくり屋敷を中心として、複雑な人間模様が交差する独特の伝奇風展開は、結構飽きさせない要素を持っている。
本作は、物語の第一部という事らしく、弦三郎、お浜、万吉らが、阿波へと旅立つ所までが描かれている。
お浜を演ずる山田五十鈴も美しいけれど、おそらく、彼女と同年輩ながら、すでに老婆役をやっている北林谷栄や浦辺粂子の姿が珍しい。
浦辺粂子扮するおたみが、自らの不始末で起こしてしまった火災で焼死するのは、何やら暗示的ではある。
