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ホラ吹き太閤記

1964年、東宝、笠原良三脚本、古澤憲吾監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

400年ほども昔、戦乱に明け暮れていた時代。
三河のとある宿場町に、一人の陽気な男が登場する。

宿に泊まるのも惜しいと、橋の上で野宿していたその男を、死体ではないかと槍で突つく、通りがかりの野武士の頭領、蜂須賀小六(東野英治郎)がいた。

しかし、その行為に怒って起き上がった男は日吉丸(植木等)と名乗って、野武士の一団を恐れる素振りも見せない。

小六に気に入られて、その仲間になった日吉丸は、日比野六太夫の屋敷への押し込みに同行するものの、戦いには参加せず、一人要領良く千両箱をせしめた功績を買われ、ますます小六に気に入られるようになる。

やがて、小六から備前村正という名刀をもらい受けた日吉丸は、かねてより眼を付けておいた織田信長(ハナ肇)の元に駆け参じ、その名刀を土産として、配下の一人に加えてもらう事に成功する。

ぞうり番を経て馬番となった日吉丸は、生薬屋を経験していた時の知識から、信長のかつての愛馬鳴神が栄養失調となって見放されそうになっているのを知り、名刀を質に入れて得た金で朝鮮人参を買い求め、それを鳴神に与えて元気を取り戻させる事に成功する。

その功績を認めた信長は、日吉丸を賄い頭へと抜擢するのであった。

名前も羽柴秀吉と改めた日吉丸は、かねてより付き合ってきた藤井又右衛門(有島一郎)の娘、ねね(浜美枝)と同棲を始める。

鉄砲隊率いる前田利家(藤木悠)も、かねてよりねねにぞっこんだったのだが、彼女が秀吉の方を好きな事を知り、あっさり身を引く事となる。
彼も又、付き合う内に、秀吉の人柄にほれるようになったからであった。

賄い頭としても、従来の無駄を省き、出入りの商人達を巧く手なずけた秀吉は、やがて、信長に、台風で多大な被害を受け、修復が遅れていた城の工事を、自分に任せてくれと直訴するのだった。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼


色々、有名なエピソードを中心に、民話の「わらしべ長者」にも似たトントン拍子の出世話が描かれている。
コメディとしてではなく、タイトルにもある通り「ホラ話」と割り切って観るのが正解だろう。
痛快感はあるが、笑いの要素は意外と希薄だからだ。

徳川家康を谷啓、大久保彦左衛門に青島幸男、今川義元に藤田進などをはじめ、藤田まことなどもちょい役で登場する。

女優陣も草笛光子、藤山陽子などお馴染み所が彩りを添えている。

「♪金のないやつぁ、おれんとこへ来い!おれもないけど心配するな♪」という、青島幸男作詩の挿入歌「黙っておれについて来い」は、テレビ番組「ゴロンボ波止場」の主題歌としても使用された有名な曲。

後半は、何だか中途半端な終わり方をしているようで、もっと観続けたいというちょっと欲求不満感が残らないでもないが、撮影所全盛時代の底力を見せつけられるような戦闘シーンなど、見所も多く、楽しい作品となっている。

何といっても、画面に登場して来るだけで、観ている者の頬が弛んでしまうような、パワフルで陽気な植木等のキャラクターは、今観ても貴重。

日本の高度成長期の庶民に、多大な夢と力を与え続けた希有な存在である。