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北海の暴れ竜

1966年、東映東京、佐治乾+神波史男脚本、深作欣二監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

神別の浜、猟銃を持った狂犬のごとき荒くれ者、芦田組の芦田(安部徹)の長男ケン(室田日出男)を中心としたヤクザ達が漁民達を痛めつけている。

網元山形家のおふくろ(清川虹子)が、憎々しい目つきで、そんなケンたちを睨み付ける。
彼女の夫は、芦田組に殺されてようなものだったからだ。

それから数日後、浜に一人の男がふらりと帰って来る。
かつて父親と仲たがいし、家を飛び出していた山形家の長男、次郎(梅宮辰夫)だった。
実は、かつて、父親と同じ「登り竜」の刺青を背負って意気盛んだった次郎は、家を真面目なトシオ(山城新伍)に継がせるため、自分は身を引くつもりで家を出たというのが本当の所だった。

彼は、かつての網元だった家族達が、今は汚い番屋住まいをしており、船も一隻だけになっただけではなく、秘かに尊敬していたあの父親もとうに亡くなっており、近在の漁民達までもが皆生気がなくなっている事を知り愕然とする。

その原因が全て悪らつな芦田組の仕業と分かり、一人で殴り込んだ次郎だったが、逆にこてんぱんに叩きのめされ、かつての仲間だったソメ(由利徹)に介抱される始末。

その日から次郎は、血気に逸る弟の真吉(谷隼人)らを諌めるようになって行く。
真吉らは、そんな兄の姿を臆病風に吹かれたと解釈するようになる。

そんな中、漁民達は芦田組の博打に無理矢理誘われ、ただでさえわずかしかもらえない賃金を、半ば強制的に搾り取られていた。

そんな賭場にふらり乗り込んだ次郎は、流れ者の用心棒、熊井剛(高城丈二)と知り合う。

剛は子犬のコロをたえず可愛がっている風変わりな男だった。

岩幌港の祭りの晩、真吉は、用意されていた花火を盗み出して、芦田を襲おうとするが、逆にケンに見つかり、自ら花火の爆発に巻き込まれて命を落としてしまう。

この事をきっかけに、芦田組の言いなりになってばかりであった漁民達に反抗の気運が高まるのだが…。

非道な仕打ちに対し、耐えに耐え、忍びに忍び、最後の最後に立ち上がる…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

基本的にはヤクザ映画の定番的展開ではあるが、次郎が復讐を一旦あきらめたかのように振舞う辺り、どこか「忠臣蔵」などを連想させる。

梅宮辰夫のキャラクターも関係してか、次郎と熊井の関係などにはユーモラスな描写も加わっており、シリアス一辺倒な展開という訳でもない。

それが一種独特な雰囲気にもなっているが、通俗味も増している感じで、好き嫌いが別れる所であろう。

ストーリーの設定や展開が陳腐である上、真吉役の谷隼人、トシオ役の山城新伍や、彼らと共に山形の家を支えている老人役の藤田進など脇役が、あまり面白みのあるキャラクターとしてしか描かれていないため、今一つ、最後の盛り上がりに欠ける恨みはある。

唯一、室田日出男の異常な凶暴振りは見物。