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白昼の無頼漢

1961年、ニュー東映、佐治乾脚本、深作欣二監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

走る車から、米軍の経理を担当しているニューヨーク・シティ・バンクの現金輸送車を観察する男。

黒人のトム・ト−ウェン(アイザック・サムソン)の元に、5日前に男女が射殺された事件を臭わせて、出向いて来るようにと伝える謎の電話がかかって来る。

とある竹林に到着した車から白人夫婦が降り立つ。
日本を食い物にして儲けているジョン・ケンディ(ダニー・ユマ)と、その妻のアン(ラビィン・シェルトン)であった。
彼らも又、謎の電話で呼出されたらしく、恐る恐る招待された洋館の中に入って行く。

そこにはすでに、韓国人の金山(春日俊二)が待たされていた。

彼らの前に現れたのは、宮原(丹波哲郎)と名乗る男と、その弟分三郎(曽根晴美)、情婦の亜紀(久保菜穂子)の三人。

銃持参で遅れて到着したトムも含め、黒人、白人、韓国人たちに、宮原は現金輸送車を襲い、50万ドルを奪う計画を打ち明けるのだった。

呼出された連中は、全員何かしら後ろ暗い所があり、不承不承ながらも、結局、その計画を受け入れる事になり、それから計画実行日まで、洋館での彼らの不思議な共同生活が始まる。

生来の女好きから、アンにちょっかいを出して、ケンディと印悪な関係になりかけたトムの行動を見兼ねた宮原は、彼の欲望を押さえるために、花子(中原ひとみ)というハーフの少女を屋敷に連れて来る。

しかし、当のトムは、花子の哀れな境遇を察して、何もしないどころか、かえって、彼女を保護し始めるのだった。
そんなトムの態度に、最初は心を閉ざしていた花子は、徐々に打ち解けて行く。

かくして、彼らは、現金輸送車襲撃計画を実行に移すのだったが、彼らの行動を付け狙っているものたちがいた。

喧嘩の最中、弟をトムに射殺されて、彼の居所を捜しまわっていた柴山組のボス柴山とその一味だった。

計画は、彼ら柴山組の介入と複雑な人間関係の中で、思いもかけない方向へ転がって行く…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

基本的にはありがちな犯罪サスペンスである。
展開も大体想像通り。

敗戦後の日本人が、白人、黒人、アジア人をリードして、大胆な犯罪計画を遂行する辺りに、ちょっと工夫が見える。
丹波哲郎は、流暢な英語で、そうしたふてぶてしいキャラクターを堂々と演じている。

ケンディを演じているダニー・ユマとは、東宝の怪獣映画「宇宙大怪獣ドゴラ」(1964)に登場した麻薬Gメン、マークこと、ダン・ユマである。

謎の洋館に人が集まって、秘密めいた時間を過ごす辺りの描写は、後の「黒薔薇の館」(1969)などをちょっと連想させたりもする。

全体的に低予算で撮られているらしく、多くは山の中でのロケが多いが、クライマックスの鏡原キャンプ場跡の屋外セットは安っぽいなりに一応それらしく作られている。
ひょっとすると、別の映画で作られた屋外セットの流用かも知れないが。

薄幸なハーフの少女を演ずる中原ひとみが印象的。

丹波哲郎も、最期までかっこいい!