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青い夜霧の挑戦状

1961年、東宝、西亀元貞+堀江史郎脚本、古澤憲吾監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

米軍基地に拾われ、米兵たちのマスコット的存在であった孤児の竜治(夏木陽介)は、朝鮮に出かけている米兵ディック(ハンス・ホルネス)の愛人ジュン(水野久美)とネンゴロの関係になっていたのだが、突然帰国したディックに浮気現場を見られてしまい、肩を撃ち抜かれるという過去を持っていた。

それから三年が過ぎ、竜治はとある果樹園で真面目に働くようになっていた。
親切にも、竜治を雇ってくれた園主の仙石(生方荘児)は、駅前のマーケット跡地の所有権をめぐって、対立するヤクザの川北組と権藤組の板挟みとなり悩んでいた。

ある日、独り出かけた仙石は何者かによって轢き殺されてしまう。

嘆き哀しむ一人娘の幸子(星由里子)を後に、竜治は果樹園を後にするのだった。

竜治は、風来坊と名乗り権藤組に入り込む。
そこには、仙石の家に脅しに来ていた谷岡(南道郎)や、軽薄なチンピラの金山(二瓶正典)、さらに腕利きらしい田代(佐藤允)などがいた。

社長の権藤(田崎潤)は、竜治に、ナイトクラブに来る予定の川北組の社長上原(松本染升)暗殺を命ずる。
殺しは嫌だと拒否する竜治だったが、結局、ナイトクラブに連れていかれ、謎の女(北あけみ)から拳銃を手渡される。

躊躇している竜治の目の前で、地元の大物という関屋(松村達雄)と密会していた上原は、何者かに狙撃されてしまう。

訳も分からず女と一緒に逃げ出した竜治は、一人にされた後、オンボロ車に危うく轢き殺されそうになる。

利用された事を知りながら、ヌケヌケと翌日権藤の元に戻ってきた竜治は、昨日の謎の女が、権藤の情婦でバーを経営している洋子だと知るのだが、報復に現れた川北組の流れ弾に当たり、彼女はあっけなく死んでしまう。
さらに、暗い目の田代の口から、彼女は元々、彼の愛人だったのだが、権藤から奪われたのだという事実も聞かされるのだった。

後日、権藤から、今度は、招待された自分に代わって踊りの披露会に行って来いと命ぜられた竜治は、会場前で、待ち構えていた川北組の連中に拉致されそうになるが、たまたま川北組の津村(中丸忠雄)と一緒に来ていたジュンに発見され、何とかその場は解放してもらう事になる。

彼女は、上原が射殺された夜、問題のナイトクラブにも姿を見せていたのであった。

竜治は、久々の再会を喜ぶと同時に、彼女の現在の立場に疑問を持ちはじめる…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

古澤監督にしては珍しい暗黒街もの。

CG風のレリーフ文字がいきなり粉々に破壊される洒落たタイトルから始まり、随所にサスペンスっぽい凝った演出が見られる。

バーの酒瓶が次々とくだけ散ったり、ドラム缶に何発も弾が貫通し、中の油が噴水のようにもれ出すといった、銃撃の弾着シーンなどには、かなりの技術力を感じた。

ストーリーもなかなか込み入っているのだが、登場人物がやや類型的か?

この種の作品の常連である田崎潤、佐藤允、中丸忠雄、水野久美らが、いつものキャラクターをいつものように演じているだけ…という印象がしないでもない。

かえって、ヨーヨーを持って「ありがたや節」を口ずさんだり、「私は嘘を申しません」などという当時の池田首相の言葉をちゃかして使っているチンピラ役の二瓶正典(=正也)などの方が印象に残る。

本作の松村達雄もなかなか面白い役所を演じている。

主役を演じている夏木陽介は、まだあまりにも坊や坊やしたあどけない風貌と真面目そうなイメージが、この手の作品にはミスマッチのようにも思えるが、逆に空とぼけたキャラクターとして面白い使い方をされているとも言える。

本作での星由里子は、本当に純真一途な小娘という感じでかわいらしい。

全体としては、まずまず楽しめる通俗アクションに仕上がっている。