1947年、松竹大船、斎藤良輔脚本、吉村公三郎監督作品。
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日本で生き残っていた最後の象シロウちゃんが、動物園で謎の病気にかかり、死に瀕していた。
飼育係の山下(笠智衆)の心配を他所に、シロウの手当てに当たっていたのは、頼りなさそうな大学の助手達ばかり。
何でも、病理学の博士は、60歳であったにもかかわらず、新婚旅行で出かけている最中で不在だというのだった。
シロウちゃんは、手当てのかいもなく、大量の鼻血を出し、しゃくりをしたあげく死んでしまう。
旅行先で象の死を知った博士は、その症状から、象の死因はバビゾ菌であろうと新妻に話して聞かせる。
その頃、大学の研究室では、あろう事か、助手の和田や馬場(原保美)らが、死んだシロウの肉を好奇心から焼いて食べようとしていた。
知らずにその御相伴にあずかったのは、研究室に残っていた渡辺と新婚の野村(安倍徹)、さらに、偶然、研究室を訪れた山下の5人だった。
食べた後、肉の正体を知らされた山下はショックを受け、茫然自失の状態で帰宅する。
話を聞いた山下の妻は、彼がシロウを捕獲したシャムのプラチップ・キリカンという所で、同じように死んだ象の肉を食べた地元民が死んだのではなかったかと夫に問いただす。
山下はその事実を思い出し、真っ青になるのだった。
慌てて研究室に舞い戻った山下は、助手達に、自分達は、後30時間で死んでしまうのだと告げる。
大急ぎで資料を調べた結果、山下の話が本当らしいと気付いた助手達も真っ青になる…。
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チョビ鬚姿の笠智衆の、とぼけた演技が珍しいナンセンスコメディ。
後年、悪役のイメージが強い安倍徹も、新婚の妻しず子と共に、死を待つ青年研究者という珍しい役所を演じている。
常日頃から思いを寄せていた富江という娘に告白できぬまま独身状態の和田、三人の子供を持つ中年の渡辺など、象を喰ってしまった5人のキャラクター各々の、死を待つ姿が面白い。
一番若い馬場を演じている、学生服姿の原保美も珍しい。
全体的にテンポも緩やかで、今観て、物凄く笑える!…というようなものではないが、 何やら怪し気な下ネタセリフも登場してくる独特のナンセンス世界と、どんでん返しに次ぐどんでん返しの連続は、最後に穏やかな不思議な魅力となってくる。
