TOP

映画評index

ジャンル映画評

シリーズ作品

懐かしテレビ評

円谷英二関連作品

更新

サイドバー

雪の女王

1957年、ソ連、アンデルセン原作、レフ・アタマーノフ監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

巨大な本の陰から、小さなおじいさん妖精オレ・ルコイエが登場し、アンデルセン像に敬意を表すると、子供に夢を見させないようにする黒い傘と、面白い夢を見させる白い傘の説明をしてから、その白い傘の方を廻して物語を語り始めます。

可憐な少女ゲルダと少年カイは、隣同士に住む大の仲良し。

二人は、互いに持ち寄った白いバラと赤いバラを一緒の鉢に植え、自分達の姿と重ねるのでした。

一夏が過ぎて、雨の季節から雪の季節へと変わり、カイはゲルダの家に遊びに来て、ゲルダのおばあさんから、雪の女王の伝説を聞きます。

すっかり、話に怯えてしまったゲルダを慰めるために、カイは「雪の女王なんて、暖炉に放り込んで溶かしちまうさ!」と勇気のある所を見せます。

ところが、この様子を、氷の宮殿の中の「氷の鏡」でうかがっていたのが、当の雪の女王。
カイの言葉に起こった彼女は、氷の家来達をゲルダの家まで飛ばせて、カイの目と心臓に氷のかけらを打ち込みます。その時、せっかく、二人が植えた鉢植えも粉々に…。

それからというもの、カイは人が変わったかのようにゲルダに意地悪になってしまい、ある日、馬車に乗って広場に出現した氷の女王の馬車に引かれるように姿をくらましてしまうのでした。

長い冬が終わると、ゲルダはカイを探しに一人で出発します。

川に新しい靴を捧げると、川は岸辺に繋いであった小舟にゲルダを乗せて、魔法使いのおばあさんの家に案内してくれました。

おばあさんは、可愛いゲルダをすっかり気に入り、花園の中のベッドで寝かしてしまいますが、途中で目覚めたゲルダはバラの花を見て、カイの事を思い出し、又、嵐の中旅立つのでした。

カラスに案内されて訪れたお城では、カイと間違えて太った王子様を起こしてしまいますが、ゲルダの話に感動した王子様と王女様に馬車と衣装をプレゼントされ、ゲルダは見送られます。

しかし、森に差し掛かったところで、女親分率いる山賊たちに襲われ、危うく殺されかけたゲルダは、親分の娘である性悪女の気紛れから助けられます。

そのわがまま娘も、ゲルダの話を聞くと同情してしまい、氷の宮殿を知っていると話す鹿に乗せて、ゲルダを山賊たちのねぐらから逃してやります。その後、慰みのために捕らえていた動物たちも解放してやり、自らこれまで行ってきた卑しい行為と気持ちを反省して、さめざめとなく娘の姿がありました…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

宮崎駿や高畑勲をはじめ、数多くの日本のアニメ作家達に影響を与えた事で知られる古典的名作。

この作品を観ると、東映動画の名作、例えば「太陽の王子 ホルスの大冒険」(1968)とか「ガリバーの宇宙旅行」(1965)、さらに少女たちが我が身を捨てて活躍する、宮崎作品の数々などは、本作がなかったら成立しなかったのではないかと思われるくらい、原点としての要素の数々を発見できる。

「太陽の王子 ホルス」でのグルンワルドは、雪の女王のイメージのそっくり男性版だし、ホルスや民衆を欺くヒルダの名前はゲルダからの引用、その性格は、氷のかけらが心臓に刺さって感情が消え失せたカイのキャラクターや、山賊の娘のキャラクターをアレンジしたものではないか。

又、やたら元気の良い山賊の女頭領は、「天空の城ラピュタ」に登場するド−ラを連想させる。

魔法使いのおばあさんの住まいの花に囲まれた庭の美しさ、舞踏会が行われているお城で花火が上がって門扉が七色に染め上げられる美しさ、氷の宮殿の中の神秘的な美しさなど、その美術的イメージの豊かさは、今でも全く色褪せていないし、動物たちの可愛らしさ、動きのリアルさなどにも注目したい。

正に、初期ディズニー作品と肩を並べる名作中の名作といっても、過言ではないだろう。