1968年、ジャック・ダニング+ジャック・ストークス監督作品。
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海底10万キロの底にある、音楽に満ちあふれた平和な国ペパーランドで物語は始まる。
音楽を聞くと虫酸が走るというブルー・ミーニーズという種族のボス、ブルー殿下は、部下のマックスに命じて、この国に戦闘を仕掛ける。
彼らが放った対音楽ミサイルが命中した人間たちは、皆、凍り付いたように動かなくなってしまう。
巨大な指差す手の形をした怪物グローブも、ペパーランドを蹂躙して行く。
国中が絶滅の危機にある中、唯独り、逃げ延びた人間がいた。
フレッドである。
彼は、アステカのピラミッドみたいな建造物の上に安置してあったイエロー・サブマリンに乗って、地上へ救世主を探しに出るのであった。
着いたのはリバプール。
空中を彷徨っていたイエロー・サブマリンは、「土曜の夜のリバプールは寂しい」などと、路上で一人しみじみしていたリンゴに接近する。
リンゴは、気味が悪くなって大きな建物に逃げ込むが、イエロー・サブマリンから降り立ったフレッドから、ペパーランドを救ってくれと懇願されるのだった。
困惑したリンゴは、フランケンシュタインの怪物が手術台の上に寝ている巨大な部屋に逃げ込む。
そのフランケンシュタインの怪物が起き上がり、試験管の中の薬を飲むとジョンに変身する。
「嫌な夢を観ていた…」と呟くジョン。
いくつもの扉の並ぶ回廊のような所に戻ってきたジョン、リンゴ、フレッド。
そんな彼らの前に現れたのは、車に乗ったジョージ。
4人は、ポールを探して、いくつも並んでいる扉を開け始める。
キング・コングがいたり、機関車が突進して来る部屋を覗いた後、ひょっこり、一つの扉が開き、ポールが登場。
全員揃った彼らは、イエロー・サブマリンに乗船して、ペパーランドへ旅立つのだった…。
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60年代後半に流行したサイケデリックな色彩とポップなイメージ。
フォトアニメなど、実験的な手法も交えた独特のスタイル。
それでいて、どことなく気品漂う伝統的な芸術文化の奥行きも感じさせる。
途中で、ビートルズ達が出会うジェレミ−という、孤独で不思議な動物も、なかなか魅力的。
ペパーランドへ向う途中の彼らは、「時の翁」の像が立つ不思議な時間の空間に迷い込み、全員が子供や老人になったり、モンスターの国に迷い込み、おかしな格好の恐竜たちに襲われたりするSFファンタジー要素もふんだんに取り入れられているが、基本的には、ジャンル作品というよりは、イメージの奔放さを楽しむアート作品だと思う。
音楽と映像の組み合わせという点においては、60年代の「ファンタジア」と言えるかも知れない。
ビートルズ本人たち(実写)は、最後の方にちらっと登場するだけだが、お馴染みの名曲の数々と共に、音楽ファンタジーアニメともいうべき、その独特の世界を楽しみたい。
