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山田長政 王者の剣

1959年、大映京都、村松梢風原作、小国英雄脚本、加戸敏監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

1625年、寛永2年、現在のタイに当たるシャムロ王国では、アユチャ王朝ソンタム王の時代。

日本の御朱印船海神丸は日本人街に間近いメナム川流域に到達していた。

その船から降り立った一人の侍は、飲食店の中で、何やら、現地の日本人相手に「虎退治」の大ボラを吹いている男に近づく。

侍からいきなり「猫」と呼びかけられた男は大西五郎兵衛(根上淳)。
呼び掛けた侍の方は「かかし」こと山田長政(長谷川一夫)、二人は古くからの友人であった。

長政は、大西に案内されてオンブラ(頭領)の津田又左衛門(香川良介)に会いに行く。

ところが、偶然中で鉢合わせしたのは、関ヶ原の時、長政から槍で太ももを貫かれ、それ以来、片足が不自由になってしまっていた有村左京(田崎潤)であった。
有村は、長政の名前の聞いた途端に、昔の恨みを思い出し、斬り掛かって来た。

それを諌めたのは、又左衛門の娘、あや(若尾文子)、客人である長政に非礼を詫びるのだった。

ある日、町に出た長政と大西は、暴れ馬に踏まれそうになっていた現地の少女と娘を助ける。

その頃のシャムロ王国は、四方を敵国に囲まれ、たえず侵略の危機と戦わなければならない状態にあった。

ある日、ビルマ軍の侵攻に対し、白象将軍と称せられていたオークヤ・カルホームの出陣を道で見送っていた長政は、あの軍隊では負け戦になるであろうと予測するのだったが、現実にその通りの結果となる。

やがて、カンボジア軍も不穏な動きを見せ始めるに及んで、ソンタム王(千田是也)は、日本人による義勇軍に助けを求める事となる。

王から指令に命ぜられたのは、白象将軍の敗北を言い当てた山田長政であった。
長政は、軍師として、いまだに自分の命を狙っている有村をあえて指名する。

結局、その戦いに勝利した長政は、その功績を認められ、王から直々、褒美として望みを尋ねられる。

長政は、この国の国民になりたいとだけ願い出るのだが、王は、その願いを叶えると共に、自分の親衛隊の司令官に任ずるのだった。

ソンタム王の右腕であったオーク・ヤー・カムへーン(市川雷蔵)も、何時しか、長政の人間性に心酔していく。

やがて、長政はいくつかの戦いに勝利していき、自らの意にそわない形ながら、ますます出世していく事になる。

王の側近達の中には、外国人の異例のその出世を喜ばない人間達もいた。

やがて、日本は鎖国となり、シャムロ王国の日本人街に住む日本人達にも帰国命令が届く。

秘かに長政に思いを寄せていたあやは、王の姪に当たるナリーニ姫(中田康子)が、長政と結ばれる事を知り、失意のまま帰国する事になる。

有村、大西らと共に、現地に残る事を選択した長政だったが、慕っていた王が亡くなり、まだ幼いチエッタ王子(太田博之)が王位につくと、長年、彼の存在を疎ましく感じていた反対派の側近達から命を狙われる事になっていく。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

本格的な現地ロケ、エキストラを4000人も使ったという壮大な決戦シーンなどは、昨今のCG処理では味わえない本物のスペクタクル感に溢れている。

鎧甲冑に身を固めた長谷川一夫が象に跨がり戦う姿は、まるで「ロード・オブ・ザ・リング」でも観ているかのよう。

いくつかの戦いを中心に、歴史を一足飛びに描いている事もあり、山田長政をあまりにも美化し過ぎているのではないかという疑念、また全体的にやや大味感があるのは否めないが、それなりに見ごたえはある。

タイ人に扮している市川雷蔵の姿も珍しい。

あやを演じる若尾文子の登場場面が少ないのは、ちょっと惜しいような気もするが、登場人物が多い本作のような大作では致し方ないというべきか。

この当時、悪役が多かった田崎潤だが、本作では、結構儲け役を演じている。