TOP

映画評index

ジャンル映画評

シリーズ作品

懐かしテレビ評

円谷英二関連作品

更新

サイドバー

逃亡列車

1966年、渡辺明原作、井上金男、宮川一朗脚本、江崎実生監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

昭和20年、当時、満州や朝鮮に住んでいた日本人達は、ソ連の侵攻に危機感を覚えていた。

満州鉄道、図佳線、図們駅は、関東軍の物資集積地であったが、ある晩、独鉄(独立鉄道)36の工藤分隊の衛兵達が花札賭博で遊んでいる最中、抗日ゲリラの襲撃に出会い、武器を強奪されてしまう。

そこへ、赴任してきたのが、北支から退却してきた有坂少尉(石原裕次郎)。

着任早々、有坂は、ソ連が国境を突破してきたため、独鉄本体は朝鮮に退却する事実を知らされる。

しかし、有坂本人は、ゲリラに武器を奪われた工藤分隊の連中と共に、襲撃のドサクサに姿を消した岡二等兵(山内賢)の残留捜索隊指揮を命ぜられるのであった。

有坂は、岡の遺留品の中から、山下光子なる女性からの手紙を発見し、彼女を探す事にする。

列車で三導溝という駅にたどり着いた彼らは、乗っていた列車がもはや動かない事を知る。

近くの集落に出向いた彼らは、そこで、倉吉麻美(十朱幸代)という女医と、李元成(伊藤雄之助)という怪し気なヤミ屋と出会う。

当初、彼らは、岡二等兵など知らないと答えていたが、実は、抗日ゲリラに撃たれて重傷を負ったまま、山下光子(伊藤るり子)と共に、そこに潜んでいたのであった。

有坂は、麻美から、自分には、岡の肩から銃弾を抜く手術は出来ないと告白される。
翌朝、彼らは、集落の住民達の姿が一斉に消えたのに気付く。
ゲリラに売られたのだった。

かろうじて、岡を連れ、駅に戻ってきた有坂ら一行は、遅れて到着してきた橋本軍曹(木浦祐三)から、終戦の知らせを受ける。

旧友である公安指令部の山村大尉(川津祐介)に電話をした有坂は、18日の午後8時までに清津港に来いといわれる。それに間に合わなければ、日本行きの最後の船が出てしまうのであった。

翌朝、行動を共にするはずだった橋本分隊が姿を消していた。

駅にやってきた李がいうには、独断で逃げだし、途中でゲリラに襲われ、全滅したらしい。

さらに、彼らが乗り込むはずだった南下列車が、途中、鉄橋をゲリラに爆破され脱線、かろうじて生き残った8人の女学生と教師が駅にたどり着く。

万事休す!

もはや、彼らに残された輸送手段はなくなったかに思えた…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

国鉄の協力を得て、おそらく、北海道辺りをロケ地として撮られたらしい娯楽巨編。

ゲリラからの襲撃を油断なく監視しながら、彼らに残された唯一の逃走方法は、壊れた列車を独力で修理する事だった。

だらしない人間の集まりと思われた工藤分隊は、元ポッポ屋(鉄道員)だった工藤軍曹(玉川伊佐男)、時計屋だった山下一等兵(中尾彬)など、現地にいた頃の特技を生かしながら、有り合わせの材料を工夫する事によって、列車の修理を開始する。

タイトルから想像するような動的なアクションものではないが、それなりにアイデアが盛り込まれた娯楽作になっている。

裕次郎も、まだ若々しいし、中尾彬など、完全に初々しい二枚目青年時代である。

冒頭、ソ連機からの空襲を受けるシーンなど、本物の戦闘機が使用されている。

鉄橋爆破のシーンは特撮だが、これも、編集がうまいせいか、ちゃちに見えない。

全体的に明朗なタッチで、さほど、サスペンスフルという感じではないが、全盛期の日活の底力を見せられるような力作となっている。