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少年猿飛佐助

1959年、東映動画、壇一雄原作、村松道平脚本、藪下泰司+大工原章演出作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

佐助(声-宮崎照男)は、山中で、美しい姉のおゆう(声-桜町弘子)と二人暮しだが、猿のチロ、熊のコロ、鹿のエリらと共に、毎日遊び回る元気な少年だった。

そんなある日、小鹿のチロが、大鷲に連れ去られる事件が起きる。
大鷲は、チロを山奥の湖に落とす。

その湖には、巨大な山椒魚が生息しており、チロは、その餌になりかかる。
助けに駆け付けた佐助も、さすがに山椒魚にはかなわない。
チロを助けようとして湖に飛び込んだ母鹿が自ら山椒魚の犠牲になるすきに、かろうじてチロは助かるが、佐助たちは後におゆうから、あの山椒魚は、夜叉姫という魔物が、昔、聖人の法力によって姿を変えられたものだと聞かされるのだった。

佐助は、みんなに迷惑をかけている夜叉姫を退治するため、自ら忍術を身に付ける事を決意し、その夜、一人で家を出て旅立つ。

途中、山賊の一団と遭遇した佐助、頭領の山嵐の権九郎(声-吉田義夫)を相手にからかっていると、人間の姿に戻った夜叉姫(声-赤木春恵)が出現し、妖術で佐助を崖下に突き落としてしまう。

気を失っていた佐助は、不思議な老人、戸沢白雲斎(声-薄田研二)に救われ、彼に忍術を教わる修行が始まる。

やがて三年が経ち、夜叉姫を頭とした山賊たちは、夜な夜な町を荒らしていた。
それを知って駆け付けたのは、上田城の城主、真田幸村(声-中村賀津雄)と三好清海入道(岸井明)。

山賊の一味、三次(声-堺駿二)と金太(声-伊東亮英)に、 大切な葛を奪われてしまった少女、おけい(声-松島トモ子)は、そのまま、葛を返せとしつこく山賊らの住処まで付いてきてしまう。

真田幸村とおゆうが知り合いで、そのおゆうが佐助の姉であると知った夜叉姫は、権九郎に命じて、彼女の住まいに火を放たせる。

そんな事とは知らない成長した佐助は、師匠白雲斎の言葉により、山を降りると、懐かしい姉の待つ住まいに戻るが、途中で、金太と三次に殺されそうになっていたおけいちゃんを助けるのだった。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

「白蛇伝」に次ぐ、東映動画第二弾。

前年、同じ東映で作られた「少年猿飛佐助」と、何故か、原作も、出演者達もそっくり同じ。

当時、日本のディズニースタジオを目指して創設された東映動画ではあったが、何をアニメにすれば良いのか、基本的な方向性が全く見出せなかったらしい。

それで、東映お得意の時代劇ネタのアニメ化などという、かなり苦しい企画になったと思われるが、今観ると、さすがにそのセンスの古めかしさは如何ともしがたい。

登場するキャラクターたちのデフォルメの仕方なども、相当昔のセンスという感じで、アイドル的な存在であるはずのおけいちゃんなども、かなり醜女として描かれているのが違和感を覚える。

動きもかなりぎくしゃくしており、その後格段に上達したアニメを見慣れた目からすれば、さすがに、今の子供達に対し、素直に名作としてお薦めできるとはいいにくい。

それでも、勇壮で軽快な主題曲や、日本画風の背景画と構図、かわいらしい動物たちの動きなど、魅力も全くない訳ではないので、ある世代以上の方々に、一種ノスタルジーを誘う、日本の戦後長篇アニメの黎明期の貴重な作品として、機会があれば観て頂きたい作品ではある。

ちなみに、佐助が、大山椒魚と戦うシーンは、後年の「太陽の王子 ホルスの大冒険」での、ホルスと大かますが戦うシーンに影響を与えているのではないだろうか?