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黄金バット

1966年、東映、永松健夫原作、高久進脚色、佐藤肇監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

夜、警官(青島幸男)が巡回していると、望遠鏡で空を観察している一人の青年と出会う。
その青年、風早アキラ(山川ワタル)は、惑星イカルスが軌道をずれ始めた事を発見、慌てふためくが、近くの天文台の天野博士に報告にいっても、全く相手にしてくれなかった。

宇宙では、謎の宇宙船が惑星イカルスに接近、その軌道を動かして、地球に向わせていた。
宇宙船の正体は、宇宙の支配者ナゾ−の操るナゾ−タワーだった。

一方、アキラ青年は、ある日突然、何者かに拉致されて、日本アルプスの中にある研究所らしき施設に連れていかれる。

そこは、パール博士(アンドレ・ヒューズ)を核とする、国連直属の「パール研究所」という秘密組織であり、ヤマトネ博士(千葉真一)やナオミ隊員(筑波久子)、パール博士の孫娘エミリー(高見エミリー)が、宇宙知識に優れた風早青年を隊員として招いたのであった。

さっそく参加表明したアキラ青年は、ヤマトネ博士から、間もなく地球に、惑星イカルスが衝突する事、パール研究所では、そのイカルスを破壊する『超破壊光線砲』なる新兵器を開発しており、現在、そのレンズの元になる原石を別働隊が探している最中だと聞かされる。

その時、南太平洋を捜査中のその別働隊からSOSが入る。

早速、スーパーカー2号で救出に向ったヤマトネ、アキラ、エミリー、清水隊員(中田博久)たちは、目的地である海上に地図には載っていない島を発見、別働隊員たちは無惨にも顔が焼けただれて事切れていた。

島には、不思議な遺跡と象形文字があり、それを読んだヤマトネ博士は、この島が一万年前に沈没したアトランタス大陸ではないかと推測するのだった。

その瞬間、海からナゾ−タワーが浮上、謎の光線でヤマトネたちに攻撃を仕掛けてきた。

遺跡の中に逃げ込んだ隊員達は、そこで、ツタンカーメン像に似た飾り物がある石棺を発見する。
そこには「一万年後に人類は存亡の危機に見舞われる。その時、我が胸に一滴の水を落とせ。我、危機を救わん」と書かれた象形文字が。
蓋を開いてみると、そこには無気味な骸骨と、彼らが探し求めていたレンズ用の原石があった!

ナゾ−の手下たちが迫りくる中、エミリーは、骸骨の胸に一滴の水を滴らせると、その骸骨はにわかに光だし、正義の味方黄金バット(ミスター黄金バット、声-小林修)が復活するのであった!

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

戦前、雑誌、紙芝居などで有名だったヒーロー、黄金バットの映画化。
松方弘樹主演の忍術特撮怪獣映画「怪竜大決戦」の併映作でもある。

東映は同時期、この作品と同じ主題歌で、テレビアニメシリーズも制作、翌年放映を始めている。

結果的に、カラーでスマートな印象のテレビアニメの方が好評で、白黒作品で技術的な稚拙さが目立つこの実写版の方は目立たない存在となってしまった。

何より、黒い布袋を被っているようにしか見えない、敵役ナゾ−が貧弱すぎる。

そのナゾ−の幹部的配下を演ずるは、ケロイド(沼田曜一)、ピラニア(国景子)、ジャッカル(北川恵一)の三人。
全員、それなりに濃い演技をしているが、中でも、沼田曜一の怪演はずば抜けており印象的。

荒唐無稽な子供騙しといってしまえばそれまでだが、山の中腹からカタパルトが迫り出し、飛び出すスーパーカーとか、ナゾ−タワーから発進する水空両用の「空飛ぶ潜水艦」など、当時ブームだった空想科学メカを意識させるアイデアの数々は、それなりに楽めなくもない。

ただし、すでにNHKで放映されていた「サンダーバード」(1965)を観ていた当時の子供達にしてみれば、併映作の「怪竜大決戦」以上のインパクトは与えなかったと思われる。

同作品に清水隊員役で登場する中田博久が、銀色のコスチューム、ヘルメット姿で光線銃を構える様は、この後、若き小林稔侍らと共に主演した、テレビの「キャプテンウルトラ」の勇姿そのまま。

何やらアニメのキャラクター風に見えるヒゲ面の千葉真一や、今や国会議員鳩山邦夫氏夫人となっている元少女モデル、高見エミリーなどの登場も貴重な映像といえよう。


千葉真一/黄金バット

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