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ヒマラヤ無宿 心臓破りの男ども

1961年、ニュー東映、松浦健郎原作+脚色、小沢茂弘監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

ニュー東映の会社クレジットは、波が打ち寄せるやつではなくて、火山から白、オレンジ、黒の三色の噴煙がモクモクと立ち上っている特撮カットに、「ニュー東映」の三角マークが重なるもの。

人類が挑戦してもなお残るヒマラヤの謎の一つ「世紀の雪男」。

その雪男が捕まったと、日本の新聞社にネパール、カトマンズ支局より連絡が入る。

動物園で、ゴリラに五つ子の赤ん坊が生まれたというニュースネタを拾って帰社してきた新米記者の土門道子(佐久間良子)と早田雄次郎(江原慎二郎)は、「今は、全紙面を雪男の記事で埋める時だ!」と、編集長(花沢徳衛)からどやしつけられる。

その頃、アメリカのラスベガスでは、どこの国の探検隊が雪男を捕まえたのかが、賭けの対象になっていた。
そんな狂騒振りを鼻で笑っていたのは、中国人の山岳研究者チャン博士(三島雅夫)。

ラジオから聞こえてきた新しい情報によると、発見者は、土門健吉博士(片岡千恵蔵)をはじめとする、日本の探検隊だったと判明。唯独り、日本に賭けていたのは、謎めいた東洋人の女性ヨッチィ・三谷(水谷良重)だった。

編集長から、土門博士が道子の兄である事を確認されると、その立場を利用して、博士が連れて帰って来る雪男の写真を絶対撮って来いと命ぜられた道子は、羽田に迎えに行くが、テレビ局の報道や音楽隊が出迎える中、到着した機内から現れたのは、全員、ヒゲまみれの土門博士と隊員達だけだった。
煙に巻かれる報道陣と群集たち。

自宅に帰り、隊員達と慰労のどんちゃん騒ぎをしていた兄、健吉に、道子が事の真相を尋ねても、土門博士は知らんぷり。

しかし、後日の夜の港、土門博士が見守る中、貨物船から降ろされる大きな木箱があった。

その木箱に雪男が入っていると睨んだ道子は早田のおんぼろ自動車で、運搬するトラックを追い掛ける。

しかし、途中で、チャン博士と、クラブを経営している大竹社長(山形勲)を乗せた車と衝突しそうになり、うっかり、早田が雪男を追い掛けている事を漏らしてしまったため、大竹社長から銃を突き付けられる事になる。

何故か、大竹社長は、雪男を暗殺したがっており、先日の羽田空港の出迎えにも、子分たちを張り込ませていたのだった。しかし、道子と早田は、すんでの所で脱出する。

一方、大竹社長のクラブでは「雪男ショー」が評判だった。
雪男を演ずるは、日本アルプスの木こりであった「ボリショイの熊三」(進藤英太郎)。
その雪男から衣装を剥ぎ取られる「ミス・カトマンズ」なる美しい女性は、かつて山で遭難した所を熊三に助けられたジーナ(筑波久子)であった。
それからというもの、二人はコンビを組んでエログロショーで稼ぐようになっていたのだった。

しかし、その熊三たちは、本物の雪男が見つかったので、失業の危機に怯えていた。
大竹社長から「本物を見つけて殺せ」と命ぜられた熊三は、「いつか奴と勝負をするのは運命だと感じていた」とうそぶき、憎っくき本物の雪男探索を始めるのであった。

そんな折、帰宅した道子は、43年間も仕えてくれていたばあやが家を出ると荷造りしている現場に出くわす。訳が分からず、とりあえず、入浴しようと風呂場を覗いた道子は、そこで寝ていた異様な生物を目にする事になる!

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

「アマゾン無宿 世紀の大魔王」に次ぐ、御大、片岡千恵蔵と、進藤英太郎コンビ大暴走のおバカ映画第二弾!

あの御大が、博士役をやっていたというのも初耳なら、東映にこんな「雪男映画」があったのいうのも知らなかった。

冒頭から、雪崩、探検隊のキャンプを襲う、謎の毛むくじゃらの男の後ろ姿など、興味深々の映像で幕をあける。

中盤の見所は、雪男をライバル視する熊三が、東京タワーの真下で開催された「ミスター雪男コンテスト」に出場する所。(審査員には、何と星美智子や三田佳子が実名で登場しているのも御愛嬌)

何故か、ヒゲ面、胸毛ボウボウの土門博士までもが参加しており、最終選考に残った二人が「度胸比べ」と称して、東京タワーの地上200mの所を歩く姿は笑わされる。

あまりの奇想天外な展開に、一体、どういう結末になるのだろう?…と思っていると、最後はやっぱり、御大十八番「多羅尾伴内」みたいになる。(笑)

何せ、土門博士、柔道五段でチャンピオンになった事もあり、銃の名手でもある!
最後は、ライフルマンよろしくライフルをぶっぱなしまくります。

テレビ中継で解説者として登場する堺駿二や上田吉二郎、宇佐美淳ら、顔ぶれも多彩。
ジーナ(劇中では、姉御としか呼ばれていない)役の筑波久子は、後にアメリカに移住し、ジョ−・ダンテ「ピラニア」(1978)や、ジェームズ・キャメロン「殺人魚フライング・キラー」(1981)を制作した事でも有名な人。かなりかわいらしい人です。

いわゆる特撮ものではなく、また、物凄い傑作という程でもないが、少なくとも、東宝の「獣人雪男」(1955)などよりは、はるかに面白い事請け合い。

御大が「雪男語」にも堪能だった事実には驚愕させられる。

「アインサンチョン、ネッパ、カメカメ、イポカルチョ」(意味不明)